引っ越し業者に「300万円」の高い壺が入った荷物を「紛失」されました…必ず補償されると思っていいですか?

引っ越し時の荷物の紛失は補償される? 「300万円」のつぼがなくなったらどうなる?

国土交通省の「標準引越運送約款」には、引っ越しで荷物を紛失された際の対応についての記述もあり、多くの引っ越し業者は同様の対応をしてくれると考えられます。

例えば第26条には「荷物の滅失又は損傷により直接生じた損害を賠償」する旨が記載されています。

ただしその責任については、荷物の引き渡しから3ヶ月以内に通知がない場合に消滅することが第25条に記されており、引っ越し後に荷物がないことに気づいた場合はすぐに連絡することが大切です。

また第27条で、荷物の引き渡しから1年以内に裁判上の請求がされないときは、時効となる旨も記載されています。

もし「300万円」のつぼが紛失された場合、骨董(こっとう)品などの貴重品は補償の対象とならないと考えられます。

第4条第2項には引っ越し業者が引き受けを拒否する可能性のあるもののリストが記載されており、骨董(こっとう)品など特殊な管理を必要とするものは、ほかの荷物と一緒に運送するには適さないとのことです。

また、第24条には、第4条第2項に記載されている荷物に関して、引っ越し業者がその旨を知って引き受けた場合に限り損害賠償の責任を負うことが記されています。

このことから、「300万円」のつぼのような高価なものは、基本的に引っ越し業者は引き受けないこと、申告しないで預けた場合は、紛失や破損があっても補償されない可能性があると理解できます。

事例から学ぶ! 引っ越しで荷物を預ける際の注意点

引っ越しで「荷物が破損した」「紛失した」といった相談が、国民生活センターにも寄せられているようです。

その中には、引っ越し業者に荷造りを任せて引っ越しをしたところ、有名作家が作った一点ものの陶器が破損したとの相談も含まれています。

引っ越し業者は賠償責任に応じましたが、約4万円の申告額よりも少ない金額が提示されたようです。

荷物の紛失や破損に対して、損害賠償が受けられる場合もありますが、購入時の価格が補償されるわけではないため注意が必要です。

引っ越しで荷物を預ける際は、以下の点にも注意しましょう。

__・荷物の破損や紛失の対応について契約内容を確認する

・貴重品や壊れやすいものは引っ越し業者に申告する

・破損や紛失があった場合は引き渡しから3ヶ月以内に申し出る__

荷物の紛失は全額補償にならないこともある! 貴重品は自分で運びましょう

引っ越しで荷物を紛失された場合、基本的に引っ越し業者は損害賠償責任を取ってくれると期待できます。

しかし貴重品など高価なものは、全額が補償されない場合もあるため注意が必要です。

骨董(こっとう)品など引っ越し業者が引き受けを拒絶するものもあるため、契約内容とともに確認しましょう。

可能であれば、貴重品は自分で運ぶと安心です。

出典

国土交通省 標準引越運送約款(平成二年運輸省告示第五百七十七号)第四条第二項、第二十四条、第二十五条、二十六条、第二十七条
独立行政法人国民生活センター 引っ越しの際の破損・紛失トラブルに気を付けて

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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