『Eye Love You』飯山教授は一体何者なのか? 絵本『心が聞こえる少女』に隠された秘密

侑里(二階堂ふみ)とテオ(チェ・ジョンヒョプ)の想いがようやく通じ合い、何にも憚ることなく思いっきり幸せな時間を謳歌していくのかと思われた矢先、そんな2人の未来に暗雲が立ち込めるような不吉な予言が降りかかる『Eye Love You』(TBS系)。

たまたま侑里がテオの部屋で見つけた『心が聞こえる少女』という絵本の主人公はまるでそっくりそのまま侑里のことで、第1話冒頭に繰り広げられる壮大な景色とも完全に一致する。さらには侑里とテオの出会いや思い出とも驚くほどにリンクしていて、あの印象的なシャボン玉までもがあたかもシナリオ通りかのようで気味が悪いほどだ。

「やがて2人にはさまざまな不幸が降りかかったのです」という予言めいた展開が続くこの絵本こそ、テオのことを息子のようにかわいがり世話をする大学教授・飯山利一(杉本哲太)がやけに2人の恋愛に反対する理由なのだろう。

そもそも侑里が相手の目を見れば心の声が聞こえる“テレパス”という能力を授かることになったのは、12年前に父親・誠(立川志らく)に連れられてラッコを見に行った北海道の海での出来事が原因だ。沈没船から漏れ出たオイルがラッコに迫ろうとしているのを目撃し、迷わず海に飛び込んだ侑里はこの特殊な能力を授かった。そして彼女を助けようと続いた誠は全身麻痺になってしまう。この時同じ船に乗り合わせていたのが飯山だった。

そして、誠を見舞いに行った先で今の侑里の姿を見かけ、それがテオのインターン先で後に本採用となった会社の社長であると後々知っていく。さらには、全身麻痺で話せないはずの誠と問題なく意思疎通できているかのように会話する侑里の様子を疑問に思い始める。

飯山はテオの好きな人が侑里だとわかるなり、出会ってはいけない者同士が引き合わされてしまった運命のいたずらと宿命に呆然としているかのようだった。しかし、ここで疑問なのかなぜ飯山が誠を見舞おうと思ったのかということだ。当時の事故の新聞記事をしっかりスクラップしているのにも何か理由があるのだろうか。

●テオのヌナ、ミン・ハナも侑里と同じ“テレパス”の持ち主なのか?

またテオが幼い頃、絵本『心が聞こえる少女』を読み聞かせてくれたヌナの存在も気になるところだ。北海道出張でテオの前に現れ名刺交換をした女性投資家のミン・ハナ(玄理)がこの女性と同一人物であるのは間違いなさそうだ。そして、彼女にもまた侑里と同じように左耳を抑える仕草が見られたが、“テレパス”の持ち主なのだろう。韓国で彼女に“テレパス”の話を読み聞かせられて育ったテオが日本で“テレパス”の侑里と出会う。そこにはどんな因果があるのだろうか。飯山が何者かと電話している様子も差し込まれるが、韓国語も話せる彼のことにその相手がミン・ハナである可能性も十分考えられる。飯山も韓国で研究していた頃に彼女と出会ったのだろうか。

冒頭の絵本の情報に辿り着き、韓国の知人にその取り寄せを依頼した飯山。その絵本に描かれた“心の声が聞こえる少女に与えられた運命”について彼も大体察しがついているのだろうか。何かしら予想できている未来があり、その答え合わせのために絵本を取り寄せたのだろうか。

飯山はもちろんのこと、侑里にテレパスについて打ち明けられ彼女を守ると心に誓った真尋(山下美月)や、テオと侑里の恋を応援すると決めた花岡(中川大志)は、この抗えない彼らの運命にどう立ち向かおうとするのか。ファンタジーとラブストーリーが交差する本作の行方が気になりすぎる。
(文=佳香(かこ))

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