防犯カメラで属性判別 山形パナソニックなど、システム開発

開発した防犯カメラシステムを確認する関係者=山形市・山形パナソニック

 山形パナソニック(山形市、清野寿啓社長)と県立産業技術短期大学校、IT企業デジコンキューブ(同市、岩瀬義和社長)が人工知能(AI)やクラウド技術を用い、防犯カメラで性別や年齢層などを識別する属性判別システムを開発した。セキュリティーに加え、高度なマーケティングにも活用できる。同校生徒が試作段階のテストに携わるなど、県内のAI人材育成にも力点を置いた。

 パナソニックの防犯カメラは広く普及しており、セキュリティー面に加え、河川のライブ映像、施設やイベント会場での人数カウント、製造過程での異物検出などに利用されている。一般の消費者にまで普及したAIやクラウドを使い、複雑化するニーズに応えようと、山形パナソニックと、同社グループでデジタルトランスフォーメーション(DX)分野のシステム開発などを手がけるデジコンキューブ、最先端の知見や技術を持つ同校が協力した。

 開発したのはAIで画像を分析するとともに、クラウドにデータを蓄積するシステムで、人物の性別や年齢の判別のほか、同一人物を重複カウントしない機能も持つ。

 同校で開発に関わったのは、知能電子システム科2年の大沼芽生(いぶき)さん(20)、青木佑磨さん(20)、今井柚希(ゆずき)さん(20)。映った人物とカメラの距離、角度の違いなどによる認識精度の差を調べた。大沼さんと青木さんは「製品化に携わることは、講義とは全然違う。品質確保など責任を感じた」「苦労したことも多かったが、検証を成果として示すことができた」などと話した。長井市のTASビルに設置が決まり、実用化も動き出した。清野社長は「精度に磨きをかけるとともに、山形の企業や機関が開発する強みを示し、AI人材育成にも貢献していきたい」と話した。

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