「一部統計に弱めの動き」と植田日銀総裁、景気認識1月より弱い表現

Takahiko Wada

[東京 12日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は12日の参院財政金融委員会で、足元の景気について「一部の統計に弱めの動きがうかがわれるものの、緩やかに回復している」と述べ、1月の展望リポートで示した「景気は緩やかに回復している」より弱めの現状認識を示した。

勝部賢志議員(立憲)の質問に答えた。

植田総裁は個人消費について、これまで価格上昇幅が大きかった食料品や日用品などの非耐久財消費に弱めの動きが出ているほか、暖冬などの一時的要因も下押し要因になっていると指摘した。ただ「家計のマインドは、食料品などにおけるコストプッシュに伴う物価上昇圧力の緩和に加え、今後の賃金上昇への期待もあって緩やかに改善してきている」と述べた。

一方、設備投資は「一部で先送りする動きが見られていたが、設備投資計画はしっかりとした増加を維持している」とした。昨年10―12月期の実質国内総生産(GDP)2次速報で設備投資が増加に転じたことにも触れた。

植田総裁は金融政策運営について、物価2%目標実現を見極める上で、賃金と物価の好循環がどの程度実現しているかを中心に点検していると説明。1月の金融政策決定会合以降に明らかになったデータに加え、今週は追加情報も入ってくると話し、18日からの決定会合では「総合的に判断し、適切な判断を下していきたい」と述べた。

今週は13日に春闘の集中回答があるほか、15日に連合の第1次集計が明らかになる。

(和田崇彦)

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