2024年導入、“タイム合算”新予選方式の詳細が明らかに。GT300で入れ替えルールを採用

 スーパーGTを運営するGTアソシエイション(GTA)は、2024年シーズンから採用される新しい予選方式の詳細を明らかにした。

 今季からGT500とGT300の両クラスで採用されることになる新予選方式については、すでに予選Q1とQ2のタイム合算方式となることが公表されていたが、その詳細がブルテンNo.007-S『2024 SUPER GT Sporting Regulations(SpR)付則-8の追記』、同No.008-S『2024 SuperGT Sporting Regulations(SpR)の一部改訂について』において明らかにされた。

 スーパーGTでは昨季2023年まで、予選Q1で上位タイムを記録した車両のみがQ2に進むシュートアウト予選が行われていた。今季はQ1とQ2を残しつつ、全車が両セッションを走行し、それぞれのセッションで記録したタイムを合計して決勝グリッドを決める“タイム合算方式”がとられる。Q1とQ2を異なるドライバーが担当するのは従来どおりだ。

 なお、合算タイムが同タイムだった場合はQ2タイムが速い車両が上位となり、Q2タイムも同一だった場合は先にタイムを記録したほうが上位となることが定められた。

2024GTE特別スポーツ走行 GOODSMILE RACING & Team UKYOの4号車メルセデスAMG GT3

 GT300クラスで予選時のトラフィック対策として行われているQ1でのグループ分けは、タイム合算方式でも継続されることが決定。前回大会までのチームランキングに基づいて、奇数順位が“グループA”、偶数順位は“グループB”に振り分けられるが、開幕戦では従来どおりGTAが前年のシリーズ順位等を考慮して振り分ける。各グループの走行順は事前の抽選によって決定する。GT500クラスについてはQ1、Q2ともにグループ分けは行われず、両セッションとも全車が出走することになる。

 セッションはQ1が10分間、Q2は8分間だ。まずGT300クラスのひと組目が出走し、8分間のインターバルを挟んでふた組目が走行。その後6分間隔を空けGT500クラスのQ1が開始される。

 Q2を前に、GT300クラスではふたたび組分けが行われ、グループA/Bの各上位8台からなる“Q2グループ1”と、グループA/Bの各9番手以下すべての車両を対象とする“Q2グループ2”に振り分けられる。

 走行はまず、GT300の“Q2グループ1”がアタックを実施。インターバルの8分を挟んで同“Q2グループ2”が走行する。Q1と同様に6分間のインターバルをおいて、全車が出走するGT500のQ2が行われる流れだ。

■GT300クラスに入れ替えルールを適用

 GT500クラスではQ1、Q2それぞれのタイムが出た段階でグリッド順位が決定するが、GT300クラスでは合算タイムでの順位入れ替えが行われる。この中では、Q1とQ2の合算タイムで“Q2グループ1”へ出走した車両の上位12番手までの順位と、“Q2グループ2”の5番手タイム以下の車両は21番手位以下の順位が確定する一方、“Q2グループ1”の下位4台の車両と“Q2グループ2”の上位4台の車両についてはQ1/Q2合算タイムを比較し、速い順に予選順位13番手から20番手までを入れ替える措置が取られる。

ポジション レギュレーション 運用例

予選1番手~12番手 Q2グループ1の上位12台 Q2グループ1上位12台

予選13番手 Q2グループ1の下位4台と
グループ2の上位4台 グループ1の13番手

予選14番手 グループ1の14番手

予選15番手 グループ2の1番手

予選16番手 グループ1の15番手

予選17番手 グループ2の2番手

予選18番手 グループ2の3番手

予選19番手 グループ1の16番手

予選20番手 グループ2の4番手

予選21番手以下 Q2グループ2の5番手以下 Q2グループ2の5番手以下

 走行中の降雨や事前の雨などにより路面が濡れ、ウエット宣言が出た場合は一部運用が異なる。GT300クラスはドライ時と同様に、Q1のタイムをもとに“Q2グループ1”と“Q2グループ2”の振り分けを行うが、Q1/Q2のタイム合算は行われずQ2のタイムのみで予選順位が決定される。また、グループ1の下位4台とグループ2上位4台を入れ替える先述の入れ替えルールは適用外となる。GT500クラスはドライ、ウエット関係なく、Q1/Q2のタイム合算で予選順位を争う。

 赤旗を出した車両の処遇については従来からルールが変更された。以前の規定では該当車両のセッション全タイムが抹消されていたが、新しいルールは当該セッションのベストタイムが抹消される一方、セカンドベストが適用されることとなった。なお、当該セッション再開後の再出走は認められていない。

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 ポールポジション以下、予選3番手までに上から3-2-1ポイントが付与される予選ポイントは、Q1/Q2に出走した2名のドライバーに与えられる。ポールポジションに係る公式記録は、従来の1名(Q2担当ドライバーのみ)から2名をカウントする方式に変わった。

 予選基準タイムは107%だ。Q1/Q2ともに各組上位3台のタイムを平均し、その107%にあたるタイムをクリアできなかった車両と、予選を走行できなかった車両はいずれも予選最下位となり決勝はピットスタートとなる。ただしウエット宣言時は基準タイムルールは適用されない。予選基準タイムをクリアできない車両が複数いる場合、以下のようにグリッド順が決められる。

1)Q1あるいはQ2基準タイム未達成車両:同条件が複数の場合はQ1/Q2の合算タイムでグリッド順を決定。
2)Q1出走/Q2不出走:同条件が複数台の場合はQ1ベストタイムでグリッド順を決定。
3)Q1不出走/Q2出走:同条件が複数台の場合はQ2ベストタイムでグリッド順を決定。
4)Q1/Q2とも不出走:最後尾となる。同条件が複数台の場合は公式練習のベストタイムでグリッド順を決定。

 既報のとおり、Q1とQ2の両セッションの間に使用できるタイヤは1セットのみだ。そして予選中の交換はできない。決勝レースも基本的に同じタイヤでスタートすることになるが、予選時のトラブルでタイヤが使用不能になった場合は、決勝スタート前に1本までは交換が可能。2本以上を交換する場合はピットスタートとなり、スタート後に自チームのピットでタイヤを交換してからコースインすることとなる。

 GTAはこの新予選方式を採用することにより、すべての車両が予選Q2まで出走することで「ドライバー2名が協力して勝利を目指すスーパーGTの魅力をより特徴づけ、Q1敗退車両をなくすことで全車のタイヤ使用条件を均等化し公正な競技を目指す」としている。

 今週末3月16~17日に岡山国際サーキットで開催される『公式テスト岡山』と、来週末3月23~24日に富士スピードウェイで実施される『公式テスト富士』では、各土曜の午後に新予選方式のシミュレーションが行われる予定だ。

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