午前の日経平均は続落、米CPIを控え持ち高調整 日銀正常化への思惑も

Noriyuki Hirata

[東京 12日 ロイター] - 午前の東京株式市場で日経平均は、前営業日比233円57銭安の3万8586円92銭と続落した。米消費者物価指数(CPI)の発表を今晩に控え、ポジション調整の動きが強まった。年初からの上昇が急だった銘柄群の下げが目立った。日銀の金融政策正常化への思惑も、投資家心理の重しになった。一方、下値では押し目買いが入り、下げ渋った。 日経平均は350円安で寄り付き、一時549円安の3万8271円38銭まで下落した。米国市場でのハイテク株安を嫌気し寄与度の高い半導体関連株で売りが先行し、指数の重しになった。 卸売や銀行、保険といった年初からの上昇が急だった銘柄群の下落も目立った。前日にTOPIXが大幅安の局面で日銀のETF買いがなかったことがネガティブに受け止められているとの声もあった。

もっとも、下値では押し目買いが入り下げ渋った。前場中盤からは半導体関連株の一角が下げ幅を縮めたりプラスに転じ、指数も徐々に下げ幅を縮めた。

ドル/円が円安方向に振れる中で、輸出関連株を中心に持ち直しが見られた。日銀の植田和男総裁による「今週は追加的なデータも出てくる、総合的に判断し適切な判断下していきたい」などの発言が伝わったが、ネガティブでないとの受け止めが先行したようだ。

市場では「円安を受けてやや落ち着いた動きになったが、昨日の大幅安の後の続落で投資家心理的に良好とはいえない。目先は日柄調整が続くのではないか」(水戸証券の酒井一チーフファンドマネージャー)との見方が聞かれた。

TOPIXは1.26%安の2633.23ポイントで午前の取引を終了した。東証プライム市場の売買代金は2兆4516億2100万円だった。東証33業種では、値上がりはパルプ・紙の1業種で、値下がりは卸売や銀行、保険など32業種だった。

アドバンテストは小高く、ファーストリテイリングがしっかり。一方、東京エレクトロンは弱い。トヨタ自動車や三井物産、ニデックは軟調だった。 東証プライム市場の騰落数は、値上がりが392銘柄(23%)、値下がりは1224銘柄(73%)、変わらずは39銘柄(2%)だった。

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