「逆にうれしかった」北澤豪はW杯メンバー落選直後、タクシー運転手の鋭い意見になぜ喜んだ?

元日本代表MFの北澤豪氏が、鈴木啓太氏の公式YouTubeチャンネルに出演。1998年に行なわれたフランス・ワールドカップの日本代表落選直後を振り返った。

【動画】北澤豪がフランスW杯のメンバー落選を回想
フランスW杯の本大会に登録された日本代表メンバー22人は、直前の合宿に参加した25人の中から決定。外された3人は北澤氏と三浦知良、市川大祐氏だった。

合宿中に落選の知らせを受けた北澤氏は、メンバー発表直後に一足先にチームを離脱。それはチームのためを考えての行動だったと明かす。

「マスコミから逃げようと思った。いろいろと言われること、聞かれることも出ちゃうし。それは、これから向かっていくチームにとってマイナスだろうということで、早く出ようと。3日間消えるのも、それがネタになるのも良くないから姿を消そうと」

帰国後は、思わぬ意見も寄せられた。タクシーに乗ると、運転手から直言されたという。

「『北澤君さ、しょうがないよね、あれはね。監督が決めるわけだから。外されることがあるのもスポーツの世界でしょ』とか言われちゃって。それが面白くなっちゃってさ。こういう世の中なんだ。タクシーの運転手までが関心を持って、当事者に意見を言ってくるって、海外みたいだなと思って、笑えてきちゃった」

その経験で、サッカーが世間に与える影響の大きさに喜びを感じたと語る。

「逆にうれしかった。たかがスポーツで社会が動いて、関心を持って『ああでもない、こうでもない』と言うなんてなかったから」

93年のJリーグ開幕時も同じ感情だったとして「望んでたけど、実勢を目にするとびっくりだよね。ずっと自分がサッカーの世界でしかものを見てなかったけど、広がって見えた」と回想した。

プロ化以前から日本サッカー界を引っ張ってきた北澤氏にとって、他人からの言葉は業界の発展を実感するきっかけの一つになったようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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