美浦トレセン級の坂路を備える外厩施設「NEW ERA」が開場 西高東低解消の起爆剤となるか

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

外厩の重要性が問われる現代競馬

現代競馬において、厩舎は限られた馬房をいかに効率よく回転させてレースに使うかということは切っても切り離せない課題。そのため、トレセン入厩後すぐにレースに使える状態に仕上げられるか、外厩施設との連携が結果にも直結してくる。

大手グループを除くと特に関東圏は関西圏と比較して核となる存在が少なく、現状は関西圏の外厩施設を利用する関東の調教師も多い。そうした状況を打開すべく2024年3月、千葉県香取市に新たな施設「NEW ERA」が開場した。

美浦トレセンから車で約40分

近年施設の充実化を図ったエスティファーム小見川内で開場したNEW ERAは全長約1200m、平均勾配3.8%、高低差約33mと美浦トレセンに匹敵する坂路と1周800mのウッドチップ周回コースを兼ね備え、関東最大の外厩拠点となり得る施設を完備。強度の高いメリハリある調教を課すことができるだけでなく、美浦トレセンから車で約40分という立地も大きなメリットと言える。

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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快適な馬房と考えられた動線

厩舎の壁には住宅レベルの断熱材を使用し、夏は涼しく冬は暖かいという造り。実際に馬房の中に入らせてもらったが、かなりの広さを感じ、馬にとっても快適な環境であるのは間違いない。さらに一歩外に出ると目の前にウォーキングマシンが設置されており、動線も無駄なく考えられている。

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長期休養馬の調整施設「DAYS」

NEW ERA開場までに使用していた千葉県富里市の既存施設は、「DAYS」として長期休養が必要な馬の調整の場として活用。1周700mのダート周回コース、角馬場、丸馬場、トレッドミルなどを備えており、それぞれの馬の状態に合わせた管理を行うことができるのも大きな強みだ。

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”Road To Win”

NEW ERAを運営するヒモリファーム代表の桧森高史氏は、施設を最大限有効活用した戦える外厩を目指すために「課題を見抜く力」「課題解決方法を考える力」「実行する力」と3つの力が必要と考える。さらに、スタッフ間での情報共有とコミュニケーション、目の前の馬に対する熱意と愛情を持って仕事に向き合うことの大切さも重要視し、”Road To Win”にこだわる姿勢に妥協はない。

すでに施設を目にした調教師からは「関東圏イチの施設」「ゲート試験を終えた2歳馬も緩ませることなくトレーニングできる」という声が上がっている。充実した施設におごることなく人を大切に、そして信頼を積み重ねていったあかつきには「NEW ERA」が西高東低解消の起爆剤となることだろう。

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【NEW ERA ヒモリファーム】

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。



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