再審法改正議論「弟の48年の刑務所生活の思いを形にして」袴田ひで子さん、声を詰まらせ訴え

再審法改正の動きが出てきたことで笑顔を見せる袴田ひで子さん(右から2人目)や小林元治・日弁連会長(同3人目)たち(3月12日、東京都千代田区の参議院議員会館で、弁護士ドットコムニュース撮影)

裁判をやり直すための手続きを定めた「再審法」の改正を目指す集会が3月12日、東京都千代田区の参議院議員会館であった。

前日の議員連盟設立に続き、関係者は「今が歴史的な転換点。これを逃したら数十年変わらない」と、改正に向けた世論の盛り上がりにつなげようとしている。

●75年一度も改正されず 再審請求中の死刑執行も

再審をめぐっては刑事訴訟法の中に手続きの規定があり、それら計19の条文がまとめて「再審法」と呼ばれている。

しかし、再審法には具体的な手続きが定められておらず、約75年間一度も改正されないままとなっている。

そのため、再審に至ること自体に大きなハードルがあり、えん罪被害者を救えない仕組みになっていると批判されてきた。実際に、再審請求中に死刑を執行された人たちもいる。

集会では、鹿児島県の大崎事件(再審請求中)に関わってきた鴨志田祐美弁護士が再審法の問題点を説明し、「2024年は再審法改正を実現する年にしなければならない」と話した。

また、1966年に静岡県で起きた一家4人殺害事件で死刑が確定してから約40年後に再審開始が決まった袴田巌さんの姉・ひで子さん(91)も出席した。

再審法改正に向けた動きが出てきたことについて、「こんなにうれしいことはない。事件は57年前の私が33歳の時で、その時は冤罪事件は私たちだけだと思っていたが、大勢の方が大変苦しんでいる。巌の48年間の刑務所生活の思いを良い方向に進めてほしい」と声を詰まらせながら訴えた。 (弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

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