地位確認訴訟、市民側の控訴を棄却 高裁那覇支部 石垣市の陸自配備巡る住民投票 市民側、上告する方針

(資料写真)高裁那覇支部

 沖縄県石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備の賛否を問う住民投票を巡り、条例の規定以上の署名を集めても市長が実施しないのは権利侵害だとして市民3人が投票できる地位の確認を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は12日、市民側の控訴を棄却した。市民側は最高裁に上告する方針。

 2023年5月の一審判決は、住民投票について定めた市自治基本条例の条項が21年6月の条例改正で削除されたとし、市民側の訴えは「存在し得ない法律上の地位を確認の対象とするもので不適法」などと門前払いしていた。

 控訴審で市民側は、条例の要件を超える署名数で住民投票の実施を求めたのは条項削除前の18年12月であり、一審判断は明確な誤りだと指摘。法令の効果を改正や廃止後に遡及的に適用することは「法令不遡及の原則に真っ向から反する」などと訴えていた。

 改正前の市条例の住民投票条項は、有権者の4分の1以上の署名による請求で「市長は所定の手続きを経て、住民投票を実施しなければならない」などと規定していた。だが21年6月、市議会与党の提案による改正で削除された。

 住民投票は原告ら若者を中心とした「石垣市住民投票を求める会」が、条例が規定する有権者の4分の1を大幅に超える1万4263筆の署名を集めて中山義隆市長に請求した。市長は19年2月、市議会に条例案を提出したが否決。議員提案でも否決され、実施されないまま、23年3月に石垣駐屯地は開設された。

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