「人工甘味料」を摂りすぎるとどうなる?低カロリー飲料を毎日飲んだ調査結果も

VadimZakirov/gettyimages

最近コンビニやスーパーでよくみかける、低カロリー・低糖質のお菓子や飲み物。なぜ甘味はそのままで、カロリーや糖質を減らせるのでしょうか?

それは「人工甘味料」という人工的につくられた甘味成分を使っているからです。人工甘味料は摂取カロリーや糖質を減らせるので、肥満や糖尿病などの生活習慣病に予防効果が期待できます。また、虫歯の原因をつくりにくいメリットもあります。

一方で、人工甘味料は食品添加物だから摂りすぎは健康によくない、といった話を聞いて不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。

そこで、今回は人工甘味料が血糖値を上げない理由やデメリットについてお伝えします。わかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

人工甘味料を摂っても血糖値が上がらない理由

人工甘味料にはブドウ糖が含まれないため、血糖値が上がりません。

そもそも人工甘味料とは、人工的に化学合成された非糖質系甘味料のことです。砂糖やオリゴ糖は糖質系甘味料に分類されます。

砂糖はブドウ糖と果糖という2つの糖が結びついたもので、ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源です。

そして、私たちが砂糖を摂取すると、ブドウ糖と果糖に分解・吸収されます。その後、吸収されたブドウ糖は血管に入り、血糖値を上昇させます。血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。

人工甘味料はブドウ糖を含まない甘味料だから、血糖値を上げないのです。

人工甘味料は血糖コントロールにデメリットがあるのか

人工甘味料が血糖コントロールに与える影響は、まだはっきりとわかっていません。

ただし、いくら血糖値を上げないからといって人工甘味料を摂りすぎると、健康に影響する可能性はあります。

●甘味が強い
人工甘味料は砂糖と比べて、200~600倍の甘味があります。人工甘味料は少量で甘味を付けられるため、摂取カロリーや摂取後の血糖値の上昇を抑えるのが特徴です。ところが、人工甘味料の強い甘みに慣れると甘味に鈍くなり、より強い甘味を求めるようになります。

また、本来私たちの体は甘味を感じれば、血糖値が上昇する仕組みになっています。ところが人工甘味料を摂ったときは、甘味を感じているのに血糖値が上がりません。すると、体内のバランスが崩れ脳からたくさん食べて血糖値をあげるように命令が出る、という一説もあります。

強い甘みを求めて糖分の摂取量が増えたり、食事量が増えたりすると、糖尿病や肥満などの生活習慣病につながる可能性があります。

●腸内フローラの変化
腸内フローラは腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)のことです。腸壁にすきまなく並んだ細菌がお花畑(flora)のようにみえるため、腸内フローラと呼ばれています。

まだ動物実験の段階ですが、サッカリンという人工甘味料が腸内フローラにおいて構成する細菌を変化させ耐糖能異常が引き起こされた、という研究報告があります。

耐糖能異常とは糖尿病ではないものの、血糖値が正常値より高い状態です。つまり、人工甘味料が腸内フローラを変化させることで、血糖コントロールに影響を与えるかもしれないと考えられます。

人工甘味料の摂取目安量

人工甘味料の摂取目安量に決まりはありませんが、1日の摂取許容量(※)が設定されています。

(※)食品添加物の安全性評価を行う国際機関「JECFA」が設定

日本で主に使われている人工甘味料は、

・アスパルテーム
・アセスルファムカリウム
・スクラロース

の3つです。

アスパルテームは体重1kgあたり40mg以下、アセスルファムカリウムとスクラロースは体重1kgあたり15mg以下が摂取許容量といわれています。

参考までに下の表は厚生労働省が実施した、成人における人工甘味料の一日摂取量の調査(令和元年)の結果です。

<アスパルテーム>
摂取量:0.055mg
摂取許容量:2344mg

<アセスルファムカリウム>
摂取量:1.779mg
摂取許容量:879mg

<スクラロース>
摂取量:0.752mg
摂取許容量:879mg

※1日あたり
※摂取許容量は成人1人あたりの量を平均体重(58.6㎏)で算出

調査によると、成人における人工甘味料の摂取量は許容量をはるかに下回るとわかりますね。

●注意点
人工甘味料は主に低カロリー飲料やお菓子に使われますが、ヨーグルトや漬物などに入っていることもあります。

目に見えないものなので、無意識に摂取していることが多いでしょう。人工甘味料を極端にこわがる必要はありませんが、摂りすぎにならないように意識するとよいかもしれませんね。

低カロリー飲料を毎日飲むと糖尿病になるの?

bhofack2/gettyimages

低カロリー飲料を毎日飲むとかならずしも糖尿病になるわけではありませんが、糖尿病になるリスクを高める可能性は考えられます。

まだ研究段階ですが、人工甘味料の入った低カロリー飲料を週に237ml以上飲む人は、まったく飲まない人と比較して1.7倍糖尿病になりやすい、という報告があります。

ただしこの研究は、もともと糖尿病のリスクが高い肥満の方が対象となっている可能性があり、まだはっきりとしたことは言えません。

とはいえ、人工甘味料の摂りすぎによる健康への影響を考えると、低カロリー飲料を毎日飲むのはやめた方がよいでしょう。

参考記事:炭酸飲料と糖質~「糖質ゼロ」と「カロリーゼロ」の違いも詳しく解説~

自然派甘味料や天然甘味料もオススメ

自然派甘味料や天然甘味料は、原材料が自然由来の甘味料です。代表的なものとして「ラカント」や「ステビア」があります。

人工甘味料も国が認めている食品添加物ですので、決して危険なものではありません。とはいえ化学的につくられたものに抵抗のある方は、植物由来の自然派甘味料や天然甘味料を使うと安心かもしれませんね。

ちなみにラカントは、エリスリトールという血糖値に影響しにくい糖質と、ウリ科の植物であるラカンカからとれるエキスを混ぜてつくられます。実は糖質がゼロではありませんが、血糖値を上げにくい自然派甘味料なのです。

ステビアは、キク科の植物で糖質ゼロの天然甘味料です。糖質ゼロなので、血糖値への影響はないといえます

参考記事:ラカントのカロリー&糖質はゼロ?~気になる味やダイエット活用法まで解説~

参考記事:植物由来の天然甘味料「ステビア」とは〜味・効果・安全性など徹底解説〜

●ラカントが本当に血糖値を上げないのか検証
弊社スタッフが、自然派甘味料「ラカント」を使って、血糖値への影響を検証してみました。

無糖のブラックコーヒーに、砂糖とラカントそれぞれ5g入れたものを飲み、血糖値の変化を記録します。

【砂糖入りコーヒーの場合】

出典:シンクヘルスブログ

砂糖入りコーヒーは、飲み始めてから徐々に血糖値が上がり、30分後にピークを迎えています。その後、コーヒーを飲んでから50分程で正常値に戻りました。

【ラカント入りコーヒーの場合】

出典:シンクヘルスブログ

ラカント入りコーヒーは、飲んでもほとんど血糖値が上がりませんでした。ちなみに、砂糖入りとラカント入り、どちらのコーヒーも同じぐらいの甘さです。

検証結果より、ラカントは砂糖代わりに使用できて、血糖値を上げにくいとわかりますね。

まとめ

以上、人工甘味料はブドウ糖が入っていないため、血糖値を上げないとわかりました。

また、人工甘味料は生活習慣病や虫歯の予防効果が期待できるものの、摂りすぎは健康によくない可能性があります。人工甘味料をこわがって避ける必要はありませんが、メリットとデメリットを理解した上で適度に使うとよいですね。

それでは当記事を参考に、人工甘味料と上手に付き合っていただけると、うれしいです。

■教えてくれたのは・・・

シンクヘルスブログ編集部

糖尿病に強みを持つ健康管理アプリを展開するシンクヘルス社のオウンドメディア。ダイエット、糖尿病の食事、マインドフルネスなど幅広い健康情報について、管理栄養士や臨床心理士、運動指導士などの専門家陣が確かな根拠をもとに執筆している。

参考元:人工甘味料は血糖値を上げないって本当?~デメリットも解説~(シンクヘルスブログ)

© 株式会社ベネッセコーポレーション