打ち上げ「13日」に再挑戦! 9日急きょ延期のロケット初号機、和歌山・串本

9日の打ち上げが急きょ延期されたカイロスの初号機。13日に打ち上げられる予定(スペースポート紀伊周辺地域協議会提供)

 和歌山県串本町田原にある日本初の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」を運営する「スペースワン」(東京都)は11日、打ち上げが急きょ延期されたロケット「カイロス」の初号機について、13日午前11時1分12秒に打ち上げる予定と発表した。民間初となる衛星の軌道投入に向けた打ち上げに、改めて挑戦する。

 9日に打ち上げる予定だった初号機は、無人にするために発射場の南東側の海域に設けた約6.5キロ四方の海上警戒区域で、打ち上げ時刻の10分前になっても船舶が残留したことが原因で延期となった。新たな打ち上げ時間帯は前回と同じ「午前11時1分12秒~17分12秒」と設定。3月末までを予備期間としている。

 同社は前回を教訓に、約10隻だった警戒船の数を増やしたり、警戒ラインよりもさらに手前に警戒船を配置して早めの呼びかけをしたりする対策を取る。

■イベントやモニターなし 見学場は規模縮小

 県や地元自治体などでつくる「スペースポート紀伊周辺地域協議会」では前回と同様、田原海水浴場(串本町田原)と旧浦神小学校(那智勝浦町浦神)に見学場を設けるが、当日まで時間がないことから規模は縮小する。

 県によると、9日の見学場の入場チケットは13日も有効で、引き続き、指定の駐車場に集合して見学場までバスで向かってもらう方式を実施。ただ、前回のようなステージイベントはなく、打ち上げの様子が見られる大型モニターも設置しない。来場者には「ユーチューブ」でのライブ動画配信と目視で楽しんでもらう。露店販売も縮小する可能性があるという。

 前回は各地に設けた「サテライト会場」も数を減らす。場所は未定で、決まり次第「打ち上げ応援サイト」(https://wakayama-rocket.com/)で紹介する。

■「全面的に協力」 地元首長

 地元の串本町や那智勝浦町でも職員の配置決めや見学場の設営などの対応に追われている。

 前回は町が運営するバスを運休にしたが、今回は平日で通院に利用する人もいることから通常通り運行する。利用が多かったJR紀伊田原駅には新たに簡易トイレを設ける計画という。

 田嶋勝正串本町長は「ロケット自体に異常がなかったので一日も早く打ち上げをしてほしいという思い。全面的に協力する。前回職員を配置して混雑する場所が分かったので検証して対応していきたい」と話す。

 堀順一郎那智勝浦町長も「早く打ち上げてほしいという気持ちがあったので大変うれしい。ただ、チケットを購入した方が仕切り直しで来られるかというとつらいところはあると思うが、皆さんに満足していただける対応をしていきたい」と話している。

■交通規制を実施 臨時列車は増便

 ロケット打ち上げに伴って交通規制が行われる。前回と同様に、国道42号は見学場から前後1キロが駐停車禁止、その先2キロは駐車禁止。協議会では、入場チケットを持たない人はライブ動画配信を利用するよう呼び掛けている。

 JR西日本は13日、ロケット打ち上げに伴う渋滞対策として、前回は9本だった臨時の普通列車を11本に増やして運行する。

 担当者は「9日に大変多くの方に利用いただいたことを考慮した」と話す。

 詳しい時刻は「応援サイト」などで確認できる。

© 株式会社紀伊民報