野生トキ、放鳥後初の減少 佐渡で巣過密、分布拡大へ

新潟県佐渡市で確認されたトキ=2024年(環境省提供)

 環境省は、新潟県佐渡市で野生復帰に取り組む国の特別天然記念物トキについて、2023年末時点で野生下の個体は前年から13羽減少し、推定532羽だったと明らかにした。放鳥を開始した08年以降、初の減少。巣が同じ場所に集中し、営巣を邪魔し合って繁殖に失敗しているとみられ、同省は分布域の拡大を検討する。

 野生個体の内訳は、放鳥152羽、野生生まれが380羽。23年は、集団で営巣する「コロニー」19カ所のうち13カ所で、すべての巣の繁殖失敗を確認した。環境省は、天敵による捕食だけでなく、過密になったトキ同士で巣の乗っ取りなどが生じ、安定して繁殖できなくなったことも要因とみている。

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