J1リーグで早くも明暗が分かれそうな首都3クラブ。町田は“失点アレルギー”が強い黒田監督の信念を体現

2024 年シーズンのJ1リーグ、3節を終えて早くも明と暗が分かれそうな印象なのが首都3クラブだ。J1初挑戦にして2勝1分の2位タイと旋風の予感が漂うFC町田ゼルビアに対し、FC東京は2分1敗の17位、東京ヴェルディは1分2敗の18位に沈んでいる。

町田は黒田剛監督の下、強度の高い守備をベースにしつつ、ボールを奪うと手数をかけずにゴールへ迫るサッカーを展開している。失点アレルギーが強い指揮官の信念を選手たちが身体を張って体現しており、その粘り強さはJ1の舞台でも異彩を放つ。

鹿島アントラーズ戦後の黒田監督のコメントからも、町田のスタイルが窺い知れる。

「どんな状況でもブレずにクリーンシート(零封)で試合を進めようと、そして時間をうまく使いながら2点目、3点目を狙っていこうと、選手たちに意識づけました」

2節の名古屋グランパス戦に続き、3節の鹿島戦も1-0の完封勝利。ここまで昨季J2MVPのエリキを負傷(すでにチームに合流)で欠きながらも白星を積み上げているあたりに、町田の底力を感じる。

一方で攻撃サッカーを標榜しながら具体的な形がなかなか見えてこないのがFC東京だ。直近のヴィッセル神戸戦では先制しながらも相手の圧力に屈する形で逆転負け。神戸戦に限らず、セレッソ大阪戦、サンフレッチェ広島戦でも得点源のディエゴ・オリヴェイラが封じられ、組み立てもままならない状況だ。

守備も安定せず、開幕3試合で5失点(今季J1ワースト4位タイ)。攻守のバランスが整っておらず、低調なパフォーマンスに終始している。ただ、スピードスター小柏剛、昨年の大怪我から復帰した右サイドバックの中村帆高など“希望”はあるだけに、今後の巻き返しに期待したい。

東京Vはパフォーマンス自体決して悪くない。横浜F・マリノスとのリーグ開幕戦もソリッドな守備で敵を封じつつ、意図的にカウンターを狙えていた。ただ、残念ながら結果がついてこない。

その横浜戦は89分(PK献上)、90+3分の失点で逆転負け。続く浦和レッズ戦も89分にPKから失点して引き分けに持ち込まれた。そして3節のC大阪戦も90+3分にPKから決勝点を決められるなど、終盤に崩れている印象だ。横浜戦後、松原健(横浜)が興味深いコメントをしていた。

「相手が疲れてきたのはあります。前からプレスにガンガン来ていましたが、途中からステイする形が多くなりました。向こうの体力の消耗もあって、自分たちが押し込めるようになったのは少なからずあります」

ここから察するに、東京Vの課題は終盤の戦い方にあるだろうか。ちなみに、東京Vの城福監督は横浜戦後にこう話している。

「手応えがあったなかで勝点がゼロなのは、やはりJ1の厳しさかなと。内容が悪くないなかで勝点を奪えない試合が続くと自信を喪失してしまう。私はそういう経験もしている。なので『内容が悪くなかった』のひと言でまとめたくはないです」

自信を掴む意味でも、次節のアルビレックス新潟戦で白星を挙げたい。

構成●サッカーダイジェストTV編集部

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