復調の兆しを見せたアルカラスが苦戦シーズンの胸中を明かす「少しばかり自信を失っていた」<SMASH>

現在行なわれている男子テニスツアー「BNPパリバ・オープン」(3月6日~17日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート/ATP1000)にディフェンディングチャンピオンとして参戦している世界ランク2位のカルロス・アルカラス(スペイン)が3回戦勝利後の記者会見に登場。その中でここ数カ月間にわたって抱えていた苦悩を明かした。

タイトル防衛が懸かる今大会、マテオ・アルナルディ(イタリア/40位)との初戦(2回戦)を逆転で突破したアルカラスは、現地10日に行なわれた3回戦で第31シードのフェリックス・オジェ-アリアシム(カナダ/元6位/現31位)と対戦。序盤から攻撃的なストロークと正確なリターンを軸に試合を優位に進めて6-2、6-3で快勝し、3年連続3度目のベスト16進出を決めた。

試合後の会見では「非常に高いレベルのプレーができ、初戦よりもはるかに良かった」と自画自賛したアルカラス。しかし20歳のニューヒーローは昨シーズン終盤から思うような結果が出ていないが故に「最近は少し自信をなくしていた」と言い、特に足首の負傷にも見舞われた2月の南米クレーシリーズでは不安の日々を送っていたと明かす。
「僕にとっては困難な数カ月だった。ここ最近の大会では、自分らしくあることが少々難しかった。また全ての試合とポイントを楽しもうと努めてきたが、常に高い強度を維持するのも難しかった。少しばかり自信を失っていたが、それは全豪の後ではなく、南米ツアー中のことだった。アルゼンチン・オープン(アルゼンチン・ブエノスアイレス/ATP250)の後、僕はうまくプレーできなかった。勝ち負けの話ではなく、(テニスの)感覚の問題だった」

それでも「ほぼ毎日トレーニングで苦しみながら、自分らしくいようと努めた」結果、以前の自分を取り戻しつつあるとアルカラスは語る。またSNSで自身に寄せられる厳しい言葉にもめげない強い気持ちも今は持っていると続けた。

「初戦は第1セットで少し苦しんで自分のテニスができなかったが、粘り強く頑張れた。そして今日は終始とても良い試合ができたから、(厳しいトレーニングは)僕の自信とテニスにとって非常に役立っている」

「僕は携帯をよく見るし、人々のコメントもたくさん見る。ほとんどは僕に肯定的なものだけど、中には悪い言葉もある。そういったものに対処するのは難しいけど、僕は対処しようとしている。全てを切り離して、自分らしさを保って、コートに出るたびに楽しみたい」

4回戦では世界58位のファビアン・マロジャン(ハンガリー)と対戦するアルカラス。昨年5月のイタリア国際(イタリア・ローマ/ATP1000)3回戦で敗れた相手に雪辱を果たせるか注目だ。

文●中村光佑

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