近年稀に見るロースコアゲームを制したシクサーズ。攻守で躍動したウーブレイJr.は「90年代のゲームだった」<DUNKSHOOT>

近年のNBAはハイスコアゲームが頻発し、リーグの平均得点は2021-22シーズンが110.6、22-23シーズンは114.7と年を追うごとに増加。今季はここまでインディアナ・ペイサーズ、ミルウォーキー・バックス、オクラホマシティ・サンダー、ボストン・セルティックスと計4チームが120点以上を奪い、平均115.0とさらに数字は伸びている。

しかし、現地時間3月10日(日本時間11日、日付は以下同)にニューヨークのマディソンスクエア・ガーデンで行なわれたニューヨーク・ニックスとフィラデルフィア・セブンティシクサーズの一戦は、近年稀に見るロースコアゲームとなった。

試合後にニックスのトム・シボドーHC(ヘッドコーチ)が「フィジカルな試合だった。タフだった」と語ったように、この日のフィールドゴール成功率と3ポイント成功率は、シクサーズが38.8%(31/80)、30.0%(9/30)、ニックスが32.5%(26/80)、22.5%(9/40)と低調。

第1クォーターは15-15の同点、前半は37-31とシクサーズの6点リードで終了。第3クォーターは得点ペースが上がり、最終的にシクサーズは4人、ニックスは3人が2桁得点をあげたものの、20点超えの選手は1人もおらず、79-73でアウェーのシクサーズが勝利を手にした。
シクサーズはジョエル・エンビード(平均35.3点)とタイリース・マキシー(26.0点)、ニックスはジュリアス・ランドル(24.0点)、OG・アヌノビー(15.6点)と得点源をケガで欠いていたとはいえ、両軍合わせてわずか152得点、ともに80点以下に終わったのは2016年1月のデンバー・ナゲッツとミネソタ・ティンバーウルブズ戦(ナゲッツが78-74で勝利)以来の出来事だった。

ニックスの得点源であるジェイレン・ブランソンをフィールドゴール成功率27.3%(6/22)、3ポイント成功率11.1%(1/9)の19得点に抑え込み、攻撃ではチームトップの18得点をマークしたシクサーズのケリー・ウーブレイJr.は、「90年代のゲームだった。昔ながらの、まさに東海岸のバスケットボールみたいな感じさ。非常にディフェンシブなゲームだった。彼らも良い守備をしていたけど、今夜は僕らの方が少し上回ったね」と振り返った。

フラストレーションが溜まっていたのか、第4クォーターにはニックスのドンテ・ディヴィンチェンゾがウーブレイJr.の足を引っかけてフロアに倒して一触即発の状況に。このプレーでデイヴィンチェンゾら3選手にテクニカルファウルがコールされるなど、1980、90年代のNBAを彷彿とさせるディフェンシブかつ荒れた展開となった。

両チームは12日にもニューヨークで対戦が予定されている。2戦連続の守り合いとなるのか、それとも打ち合いが繰り広げられるのか、興味深いところだ。

構成●ダンクシュート編集部

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