祖父が亡くなり会社を休みましたが、上司に「ウチに忌引き休暇はない」と言われました。「有休」を使用したのですが、これって違法ではないのですか?

忌引き休暇とは?

忌引き休暇とは、親族が亡くなった際に取得できる休暇のことです。通夜や葬式に出席したり、気持ちの整理をつけたりと、親族を亡くした労働者のために設けられています。喪に服すという意味で「服喪休暇」、結婚式や出産も含めた「慶事休暇」という名称が使われることもあります。

一般的には忌引き休暇は、親族が亡くなった場合を対象としたものです。例えば祖父母や父母、兄弟姉妹が亡くなった場合は忌引き休暇の対象ですが、友人や知人が亡くなった場合は対象となりません。ただし会社によって対象範囲は異なります。

亡くなった人との血縁関係が近いほど長く忌引き休暇を取得できる傾向にあります。会社によってさまざまですが、亡くなったのが配偶者や父母であれば7日程度、祖父母や義理の父母であれば3日程度の休暇を取得できることが多いようです。

忌引き休暇がなくても違法ではない

労働基準法には有給休暇に関する定めはありますが、忌引き休暇に関する定めは存在しません。つまり、会社に忌引き休暇の制度が設けられていなくても違法にはなりません。

忌引き休暇を設けるか設けないか、どのような利用条件にするのかは、それぞれの会社で自由に取り決めをして良いことになっています。忌引きの対象となる人や取得可能期間が会社によって異なるのはそのためです。

忌引き休暇がない場合の対応方法

会社の就業規則に忌引き休暇が設けられていない場合は欠勤扱いになるため、有給休暇をあてることが推奨されます。有給休暇は労働基準法で付与が義務付けられている休暇であり、休んでも給与が減額されない制度です。数日休んだとしても収入が減らないため、ほとんどの人は有給休暇で対応するのではないでしょうか。

忌引き休暇が無給の可能性もあることに注意

もし会社に忌引き休暇の制度が存在しても、必ずしも有給とは限らないことにも注意が必要です。会社の就業規則によっては無給扱いとなり、休暇を取得した日数分の給与が減額される可能性もあります。

「忌引き休暇を使ったら給与が減っていた」というトラブルを回避するためにも、会社の就業規則を確認すると良いでしょう。

まとめ

労働基準法では忌引き休暇に関する取り決めがないため、会社に忌引き休暇の制度がなくても違法にはなりません。忌引き休暇の制度がない場合は、有給休暇をあてて対応することになるでしょう。

また、忌引き休暇の制度があったとしても、会社によって利用できる条件はさまざまです。雇用形態や継続勤務期間の他、忌引き休暇を取れる日数などはそれぞれ異なります。

急な不幸事があった際は何かと慌ただしく、仕事のことを考えられないものです。忌引き休暇が使えるものと思い込んでいると、思わぬトラブルになりかねません。万が一のときに備え、会社の就業規則で忌引き休暇のルールを確認しておくと良いでしょう。

出典

e-Gov法令検索 労働基準法

執筆者:山田麻耶
FP2級

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