大阪万博の「邪魔リング」7割完成も…新たに吹き出した「手すり」しょぼすぎ問題、350億円かけて安全性に疑問

工事が進む万博会場(写真・時事通信)

大阪万博の開催まで400日を切り、350億円かけたシンボル「大屋根(リング)」も7割まで完成。3月11日には、工事の様子などが報道陣に公開された。

「リングは幅30メートルで1周が約2キロ、高さは12~20メートルあり、真上から見た面積は約6万平方メートルで、世界最大級の木造建築物になります。屋根は来場者が歩行できるようになっており、夜間はライトアップされる予定です」(経済担当記者)

このリングに関しては、2月22日、日本建設業連合会の宮本洋一会長(清水建設会長)が、

「リング内側のパビリオン等の建設は、これから着工するものも多く、今後すべてのリングがつながった際には、内側への重機や資材の搬入に制約が生じると聞いている」

と語り、パビリオン工事の邪魔になる可能性を指摘している。

そうしたなか、新たな問題が飛び出した。リングにつけられた手すりがきわめて貧弱で、転落事故が置きかねないというのだ。この問題を最初に指摘した建築エコノミスト・森山高至氏は、2月24日、自身のXに《万博木造リングの通路?これでホントに完成形か?》などと投稿し、安全性に疑問を呈している。

いったいどういうことなのか。森山氏に話を聞いた。

「観光地の建築物などは特にそうなのですが、手すりは『丈夫だけど目立たない』という設計施工が求められるので、建築家がとても苦労するところです。それで、私もいろいろな建築物の『手すり』に注目します。

最初に大屋根リングの手すりを見たとき、『これは仮設なのかな?』と思ってしまう作りでしたから、疑問を呈する意味もあり、Xに投稿しました。

しかし、仮設にしてはボルト止めもしてあるし、発表されている図面でもこのような作りです。万博協会から私のXに何も言ってこない(クレームがない)ので、『このままなのかな』と思っています」

そこで万博協会に問い合わせると、「手すりは、こちらの仕様になります」との回答だった。つまり、仮設ではなかったのだ。

これに森山氏は「350億円かけて『空き地の侵入防止金網仕様』ですか」と苦笑する。

前出・経済担当記者が、こう指摘する。

「リングの長さはおよそ2キロあり、当然、すべてに人の目が届くわけではありません。そのような状況で、子どもたちがよじのぼったり、大人が悪ふざけで思いっきり寄りかかったりすれば、転落事故などが起きかねません。

大阪府は、府内在住・在学で、4歳から高校生までの全員を万博に無料で招待すると発表しています。子どもたちに不測の事態が起きなければいいのですが……」

実際、SNSには、

《子供さんと、この万博の無駄ループの上に登るのはやめて下さい。必ず転落事故が起きます!!》

《万博て、水増しのために子供らを大量に動員するんだよね?その子供らが、もしこの手すりとかのせいで、大事になったりしたら、知らねえぞ、、。》

《子供の転落のリスクもそうですが、こんな土台との固定もしっかりしてそうもない柵では多くの人が寄りかかったら・・・》

など、安全性に疑問を持つ声が多数寄せられている。

リングを視察した吉村洋文知事は、「圧倒的な唯一無二の木造建築物になる」と絶賛し、Xにも、《2800万人の来場者が荘厳な世界最大級の木造リングを目の当たりにし、リングスカイウォークを体験した時の評価がどうなるか。楽しみだ。》などと投稿している。しかし、安全管理がおざなりでは、不安しか残らないのではないか。

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