[Alexandros]、結成の地・青山学院凱旋ライブ直前インタビュー 2024年バンドの現在地を語る

[Alexandros]が2024年3月16日、17日に東京・青山学院記念館にて凱旋ライブ『[Alexandros] Back To School!! celebrating Aoyama Gakuin's 150th Anniversary』を開催する。

青山学院は、川上洋平(Vo/Gt)と磯部寛之(Ba/Cho)の母校であり、バンド結成の大切な場所。このライブは当初2020年3月に開催が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で中止に。今回のライブは4年越しのリベンジ公演となる(2日目のライブはABEMA PPV ONLINE LIVEで独占生配信される)。

また10月26日、27日には、川上と白井眞輝(Gt)の出身地である神奈川県・相模原市で[Alexandros]主催の屋外フェス『THIS FES ’24 in Sagamihara』の開催も決定している。

このふたつの大きなイベント、そして近況から今のバンドのモードについてまで、メンバー全員に語ってもらった。(森朋之)

■「バンドにとっては聖地巡礼」――結成の地で“本当の意味”での凱旋ライブ

――まずは3月16日、17日に青山学院で行われる凱旋ライブは、もともとは2020年に予定されていたものですが、そもそもはどういった経緯で川上さんと磯部さんの母校でライブをするということに繋がったんですか?

川上洋平(以下、川上):[Alexandros]は学生の時に組んだバンドから始まってますけど、当時は学園祭のオーディションに落選しまくってたんですよ。そのリベンジをしたくて(笑)。

磯部寛之(以下、磯部):(2020年は)デビュー10周年のタイミングだったんですけど、やっとオーディションを通過しました(笑)。

川上:――というのは冗談ですけど。でも、[Alexandros]は大学1年生の時に僕がクラスメイトに声をかけて始まったバンドですからね。青学は結成の地だし、本当の意味での凱旋ライブをやろうと。それも、文化祭の一環というものではなくて、ライブをやりたいとこちらから話を持っていったんですよ。

磯部:洋平とは同じ学部(法学部)で、しかも同じクラスだったんです。最初は(バンドへの加入を)断ったんですけど、付き合っていた彼女にフラれて傷心だった時に洋平にまた誘われて、入ることになりました。最初の印象はあまりよくなかったと思うんですけどね、お互いに。当時通っていたのは厚木キャンパスで、1年の終わり頃に学食でたまたま話をしたらすごく気が合って。

――それから20数年が経って[Alexandros]として青学でライブを行うというのは、かなり感慨深いですよね。

磯部:感慨深いですね。自分にとって初めてのバンドでもあるし、音楽をやるということのスタートでもあったので。

リアド偉武(Dr/以下、リアド):バンドにとっては聖地巡礼ですよね。みんなの思い出の場所でライブをやれるのがすごく楽しみ。たとえば、ニューヨークで制作していたアルバム(『Sleepless in Brooklyn』/2018年)のドキュメント映像もそうなんですけど、自分がバンドに入る前のことを知れるのは興味深いし、そのなかで得られることもすごくあるので。

白井眞輝(以下、白井):ふたり(川上、磯部)の在学中に、僕は何度か青学に行ったことがあるんですよ。自分自身はキャンパスライフを経験していないので、「大学ってこんなところなのか~」って新鮮でしたね。以前、青学で撮影したことがあったんですけど、その時も「今の大学生ってこんな感じなんだなあ」と思ったりしました。

――川上さん、磯部さんは、大学時代に思い描いたであろう“バンドで成功する”というビジョンを実際に実現することになるわけで。

川上:たしかに。そういうことになるのかな。もちろん、もっと上に行きたいと思ってはいますけど。

磯部:そうだね。“音楽をやれている”という意味では思い描いた通りだけど、まだまだ途中という感じもあって。

――とはいえ、記念すべきライブですよね。どんなステージになりそうですか?

川上:まだ何も決まってないです(取材は2月下旬に実施)。セットリストはその時によって変わるし、リハーサルのなかでも変化するんですよ。もちろん青写真みたいなものは作るんですけど、それが「なんかしっくりこない」ということもあるだろうし、そのたびに少しずつ形が変わっていく。だから、結論としては、当日になるまでわからない。

磯部:そうだね。

川上:でも、曲作りと一緒ですね。自分がデモを作ったとしても、みんなで音を出してみると、想像していたものと全然違うこともある。それが面白いところでもあるし、最初から作り込むよりも、何も考えないで臨むほうがいい時もあるのかなと。今年はワンマンライブが少ないかもしれないので、そういう意味でも今回の青学でのライブは貴重だと思いますね。

磯部:会場(青山学院記念館)は、僕自身が学園祭でいろんなアーティストのライブを観ていた場所なんですよ。aikoさん、CHAGE and ASKAさんとか。だから、あの会場で自分たちのライブをやれるのが単純に楽しみだし、呼んでもらうよりも、こちらから乗り込んでいくのも僕ららしいのかなと思いますね。

白井:ライブ自体が久しぶりだし、しかも今年初めてのワンマンなんですよ。(各地の)学園祭にはこれまで何度か出たことがあるんですけど、今回は僕らだけなので思い切りやりたいですね。あとは、ふたり(川上、磯部)の反応も楽しみで(笑)。「懐かしいね!」という部分もあるだろうし、とにかく初めてのこと、やったことないことをやるのは面白いですしね。

リアド:さっき洋平が言っていたように今年はワンマンの数が限られそうな気がしているので、すごく楽しみです。青学の学生の方も来てくれると思うので、若いパワーや熱量を含めて、特別な空気が宿るんじゃないかな。

川上:うん。今の大学生って、コロナ禍と重なってるじゃないですか。4年生は入学した時からオンライン授業だったと思うし、1年生、2年生も高校時代はコロナ禍で大変だったんじゃないかなって。

――大切な大学生活なのに、今の学生たちはすごくコロナ禍の影響を受けてますよね。2020年~2021年なんかは、ほとんどライブやフェスにも行けなかっただろうし。

川上:そういう学生のみんなの鬱憤を晴らすようなライブをやりたい。4年生は卒業旅行の予定もあるだろうけど、ぜひ観てほしいなと思います。あとは、「こんな面白い先輩がいるんだ!」というのも知ってほしいですね。

磯部:はははは!

川上:就職活動の時期になると、いろんな企業のOB/OGが学校にやってきて、就職説明会が開かれるんですよ。自分たちのライブを観て、「こういう進路もあるのか!」って思ってもらえたらなと。

磯部:新しい進路の選択肢が開かれる(笑)。

川上:参考にしてくれてもいいし、反面教師にしてくれてもいいし。でも、何かのきっかけにしてもらえたらうれしいですね。

■もうひとつの凱旋『THIS FES ’24 in Sagamihara』に向けて

――10月26日、27日には神奈川県相模原市で主催フェス『THIS FES ’24 in Sagamihara』が開催されます。

磯部:こっちも聖地巡礼ですね。ふたり(川上、白井)が相模原出身なので。

白井:生まれも育ちも相模原です。

川上:自分は生まれが川崎市で、2歳から相模原ですね。言ってみたら、磯部もほぼ相模原の人だけどね。大学も厚木キャンパスで、よくうちの実家に泊まっていたので(笑)。あ、相模原でバイトもしてたよね?

磯部:してた(笑)。

――(笑)。以前から地元の相模原でフェスをやりたいと考えていたんですか?

川上:いや、考え始めたのは最近ですね。結成当初から対バンライブ(『THIS SUMMER FESTIVAL』/通称『ディスフェス』)はやってきたんですけど、自分たちが主催するフェスは、ちょっと恥ずかしさもあって。でも、何度か僕らがバンド主催のフェスに呼ばれて、「こういうのも素敵だな」と素直に思うようになったんですよね。それに、相模原のいろいろな場所を巡る番組に出演する機会があったり、「相模原で何かをしたい」という気持ちが芽生えてきたんです。相模原のことをよく知らない人も多いと思うし、自分たちみたいなバンドが相模原を手助けできることもあるんじゃないかなと。フェスをやれば、全国からたくさんの人が来てくれるだろうし。

――なるほど。出演バンドも楽しみです。

磯部:そうですよね。自分たち主催のフェスだし、縁のある方々を呼ぼうと思ったんですけど、「あれ?」って(笑)。

――たしかに、[Alexandros]は孤高というか、他のバンドとつるんでいるイメージがないような気もしますね(笑)。

川上:特に、最初の頃はバンド同士で仲よくするということ自体、よくわからなかったんですよ。同期か先輩しかいなかったこともあって、“ライバル”という感覚が強くて。仲間というよりも戦うモードだったし、それで生きていくしかなかったので。自分たちでシーンを作るという気持ちが明確にあったわけではないけど、活動を重ねるなかで「“仲間”って呼べるかもしれない!」と思えるバンドも少しずつ増えてきて。出演バンドはまだ決まってないんですけど、僕たちも楽しみにしてるところです。

磯部:さっき洋平も言っていましたけど、対バンイベントは以前からやってたけれど、屋外での本格的なフェスは今回が初めてだし、これまでの『ディスフェス』に来てくれていた人たちにも、大いに楽しみにしてほしいですね。

白井:会場(相模原ギオンフィールド)は、僕が小さい頃からよく遊びに行っていた場所で。「まさか、あそこでフェスをやるとは」という感じもありますね。『花博』(1992年開催『第9回全国都市緑化かながわフェア グリーンウェーブ相模原'92』)とかもあって、地域の人にとっても馴染みのある場所で。ロックファンはたくさんきてくれると思うし、それもすごく大事なことなんだけど、地元の人たちがどれくらい関心を持ってくれるかも楽しみなんですよ。これまで音楽フェスに行ったことがない人もきてくれるかもしれないな。最近は、自分自身も今まで知らなかった相模原がどんどん見えてきて。JAXAの施設(JAXA相模原キャンパス)もあるんですよ。

リアド:そうなんだ。僕はあまり馴染みがなくて、昔デートで行ったことがあるくらいなんですけど。

磯部:凱旋だね(笑)。

リアド:(笑)。今年は記念すべき1回目の野外フェスだし、今後どう続いていくのかはわからないけど、しっかりいいフェスにしたいです。

川上:うん。もし相模原でフェスを続けられたら、こんなにすごいことはないと思いますし。まずは1回目ですね。

――ライブやフェスの準備もありつつ、最近のバンドのモードはいかがですか。制作も継続しているとか?

川上:ずっとやっていますね。2023年はずっとライブをやっていたイメージなんですけど、今年はじっくり制作をやっていきたくて。曲のネタ作りみたいなことを続けてきて、ちょっとずつ本格的なレコーディングに向けて動き出している状態です。今年のライブで(新曲を)やりたい気持ちもすごくあって。ただ、まだどうなるかわからないですけどね(笑)。楽しみにしていてほしいです。

(取材・文=森朋之)

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