世界7位ルネが名将ムラトグル氏との再タッグに好感触!「彼となら良い未来が待っていると思う」<SMASH>

現在開催中の男子テニスツアー「BNPパリバ・オープン」(3月6日~17日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート/ATP1000)に第7シードで参戦している20歳のホルガー・ルネ(デンマーク/世界ランク7位)が現地11日に行なわれたシングルス3回戦勝利後の記者会見に登場。その中で先日再びコーチ契約を結んだ名将パトリック・ムラトグル氏(フランス/53歳)に言及し、「彼は指導者として最適な人物だ」と語った。

既報の通りルネは元世界王者のボリス・ベッカー氏(ドイツ/56歳)、ロジャー・フェデラー(スイス/2022年に引退)を長年指南したセベリン・リュティ氏(スイス/48歳)をコーチとして招聘したものの短期間で両者と離別。

その直後にはジュニア時代から自身を知る元世界41位のケネス・カールセン氏(デンマーク/50歳)が新コーチに就任すると、先月下旬には22年10月から昨年9月まで自身のコーチを務めていたムラトグル氏を再招聘し、先々週の「アビエルト・メキシコ・テルセル・HSBC」(メキシコ・アカプルコ/ATP500)から早くも新チームをスタートさせていた。

ムラトグル氏と言えば、以前は認められていなかった試合中のコーチングをはじめ、テニス界で度々問題行動がクローズアップされてきた人物の1人だ。直近では過去に指導していた元世界女王のシモナ・ハレップ(ルーマニア/32歳)に禁止物質が含まれたコラーゲンを提供。その結果ハレップが一時4年間の資格停止処分(現在は9カ月に軽減)を受けるという事態にも発展してしまった。
ただいくらお騒がせ報道が出ようが、ルネにとってムラトグル氏はかけがえのない存在である。というのもルネは当時13歳だった16年に、ムラトグル氏がフランス国内で運営するテニスアカデミーに入門し、長らくトレーニングを積んでいた。かねてから20歳の若武者は同氏の選手育成力を高く評価してきたが、今もその考えは変わらないと明かす。

今回のインタビューでルネは、約14年苦楽を共にした元コーチのラース・クリステンセン氏(デンマーク/60歳/23年秋に関係解消)に触れつつ、指導者が目まぐるしく変わった数カ月間を回顧。その上で最終的にムラトグル氏と再タッグを結成した理由をこう説明した。

「(チーム編成に関しては)かなり混沌としたものだった。僕はそうした状況には慣れていない。なぜなら、僕は人生のほぼ全てを同じコーチ(クリステンセン氏)の下で過ごしてきたからだ。いくつかのことを試したが、今ではムラトグル氏となら良い未来が待っていると思っている。僕は常に彼のことを考えていたし、彼は僕を訓練してくれる人としてふさわしい。我々は旧知の仲であり、それが僕に大きな安定感をもたらしてくれる」

迷いに迷った末にようやく理想の布陣が固まったルネ。ムラトグル氏との再タッグが少しでもポジティブな変化をもたらしてくれることを期待したい。

文●中村光佑

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