キリン、成田悠輔氏のCM取りやめ…過去発言が仇となって「不買運動」も勃発

写真:REX/アフロ

キリンビールの缶チューハイ「氷結無糖」シリーズ。この3月から、タレントの小峠英二、若槻千夏らが参加する新キャンペーンが始まったが、そこにもう1人加わったのが、経済学者・成田悠輔氏だ。

CMのなかで「時代を作るものは、いつだってシンプルですよね」などとコメントしていた成田氏だが、この起用に関して、SNSでは批判が殺到、不買運動まで起きている。成田氏の過去の発言が問題視されているのだ。

「成田氏の過去の発言とは、2021年12月に放送されたインターネットテレビ番組『ABEMA Prime』(ABEMA)に出演した際のものです。

成田氏は少子高齢化問題などをめぐる発言のなかで、『唯一の解決策はハッキリしていると思っていて。結局、高齢者の集団自決、集団切腹みたいなものではないか』などと発言。

さらに、『将来的にあり得る話としては、安楽死の解禁とか、安楽死の強制みたいな話も、議論に出てくると思うんですよね』などと笑みを浮かべながらコメントしました。

このコメントは、2023年2月、米紙ニューヨーク・タイムズにも取 り上げられ、大きな騒動になりました。成田氏が助教授をつとめるイェール大学は、『成田氏の意見は彼自身のものであり、イエール大学の見解を表すものではない』と公式見解を発表したほどです」(週刊誌記者)

こうした経緯があっただけに、CMに成田氏が起用されると、その直後からSNSでは「#集団自決」がトレンド入り。

《あの成田悠輔を使うとかほんと大企業としてありえない!!発言を知らないなんて嘘つかないで??高齢者も子どももみんな大事な命!キリンさん、正気に返って!!》

《この人物は、安楽死を強制とまで言ってます。それは殺人になってしまうと思うのですが、それを合法化するという思想の人物ですよね。どうして採用されたのでしょうか? そのうち氷結を飲んで安らかに眠れるようになるのでしょうか?》

《#成田悠輔 をCMに起用することが #ブームというより時代です なのか。 #集団自決 を声高に主張する人物に CMさせる商品など誰も買わないよ》

など、大きな炎上騒ぎが起こった。

こうした事態について、キリンはどう考えているのか? 3月12日、キリンビール広報部に話を聞いたところ、回答を得ることができた。まず、成田氏を起用した理由について、

「氷結の魅力を端的に伝え、興味を持っていただきたいという思いから、幅広い立場の方に『氷結無糖』の良さを “ご自身の言葉で語っていただく” ことを目的に企画して、WEB広告に起用いたしました」

と回答。続いて、SNSで「氷結無糖」の不買運動が起こっていることに対して聞くと、予想していなかった答えが返ってきた。

「過去に成田氏の発言のなかにあった表現が、比喩か否かは別として、(弊社としては)過度な表現があったと判断をいたしました。今回、WEB広告に対して様々なご意見を頂戴いたしましたので、総合的に判断をいたしまして、一部のWEB広告の投稿を取り下げることにいたしました。

このたび頂きました様々なご意見を、今後の活動に生かしてまいりたいと思っています」

本誌が話を聞いた段階ですでに取り下げ作業が進んでおり、成田氏が出演したもの(屋外広告、WEB広告、Xへの広告投稿、ブランドサイト等)は、順次消えるという。成田氏のCMに関しては、すべてなくなる方向とのことだ。

議論を呼んだ成田氏のCM起用は、消費者から「NO!」の評決がくだされてしまった。Xには、《声を上げれば届くのだな。何事にも諦めず声を上げ続けなければならない》などの声も寄せられている。

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