【建設業2024年問題】現場の痛み...3位「新築の竣工前に変更や手戻り」、2位「前後の工程の都合での手待ち」、1位はやっぱり?

建設業2024年問題への対応が急務となっている建設業界だが、働いている人には痛みが伴われている。

建設DXに取り組む野原グループが2024年2月27日に発表した「建設業界従事者1000人への独自調査」では、「建設現場の痛みと期待」に焦点を当てられている。

その調査結果によると、「現場で、痛みが伴う深刻な課題」の第1位には「週末にも働く(工期厳守や、工程管理が厳しくて休めない)」、2位は「前後の工程の都合での手待ち(現場に入ってみたら作業できる状態ではなかった)」、3位は「新築の竣工前に変更や手戻りがある(作業指示が明確ではない)」となっている。

建設業の課題 「週末にも働く」「前後の工程の都合で待ち時間」「新築工事の指示が明確でないためやり直しが起きる」がトップ3に

この調査は2024年1月15日から1月22日まで行われたもので、対象は全国の建設業界従事者の20代から70代まで。回答者は1000人で調査方法はゼネラルリサーチに委託したインターネット調査。

はじめに、「現場で、痛みが伴う深刻な課題」(図1)を質問すると、1位は「週末にも働く(納期厳守や、工程管理が厳しくて休めない)」で50.1%を占めた。次いで、2位は「前後の工程の都合での手待ち(現場に入ってみたら作業できる状態ではなかった)」で35%、3位は「新築の竣工前に変更や手戻りがある(作業指示が明確ではない)」は33.4%となった。

以下、「一日の中で実作業時間が足りない。作業効率が悪い。(朝礼、昼に午後打ち合わせ、午後に明日の作業確認、夜に清掃・後作業が多い)」(32.1%)、「雨が降るとお給料がもらえない(工種にもよるが日給制は天候に左右される)」(22.6%)が続いた。

1位の「週末にも働く」について、同社は

「比率を従事業務別に見たところ、工事に直接かかわる「施工(n:231)」で45.0%、「専門工事(n:75)」で48.0%と、この二業務だけが全体比率の50.1%よりも低い結果がでていたことに注目したい。日給制のため働く日数が収入に直接影響することから、「週末にも働く」ことが痛みを伴う深刻課題であると考えていない方々が一定数存在するのではないか」

と分析した。

また、5位の「雨が降るとお給料がもらえない」については、「建設産業では、工事現場の大半が屋外のため天候等の自然の影響を受けやすく(屋外産業)、日給制が少なくない技能工(職人)にとっては工事の種類(工種)によって、収入も天候に左右される不安定さがうかがえる」と同社は解説する。

建設業界に改善してほしいこと 3位「古い慣習の改廃」、2位「長時間労働の是正」、1位「給与水準のアップ」

続いて、対象者1000人に「建設業界で改善してほしいこと」(複数回答)を聞いてみると(図2)、1位は「給与水準のアップ(571人、57.1%)」、2位は「長時間労働(休日取得日数・早出・残業)の是正(495人、49.5%)」、3位は「古い慣習の改廃(327人、32.7%)」。

そして、4位「事故のない安心・安全なフロー(319人、31.9%)」、5位「デジタルツールを駆使した業務効率化(255人、25.5%)」という結果になった。

調査結果によると、ほぼ全業務において「給与水準のアップ」と「長時間労働(休日取得日数、早出、残業)の是正」がほかの項目よりも比率が高く、「デジタルツールを駆使した業務効率化」や「データを活用した情報共有」への期待は低い結果になった。

また、全体と中小企業、大手企業という事業規模別(図3)での結果によると、中小企業(n=711)では1位は「給与水準のアップ」が52.9%で他を引き離して高くなった。

一方、大手企業では1位は「長時間労働(休日取得日数・早出・残業)の是正(51.2%)」、2位は「給与水準のアップ(50.2%)」、3位は「デジタルツールを駆使した業務効率化(33.2%)」と順位に入れ替わりがみられた。

同社ではポイントとして、「年代別にみると、『デジタルツールを駆使した業務効率化』について、他の年代に比べて30代で改善を望む比率が高かった点に注目したい」とコメントした。

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