米国がと畜用の刃物を振り上げる、TikTokがまた危機に?―シンガポールメディア

シンガポール華字メディアの聯合早報は11日、中国のバイトダンス傘下の短編動画投稿アプリ「TikTok」について、「また危機に?」とする論評を掲載した。

シンガポール華字メディアの聯合早報は11日、中国の字節跳動(バイトダンス)傘下の短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」について、「また危機に?」とする論評を掲載した。

論評はまず、中国が国会に相当する全国人民代表大会と国政助言機関である全国政治協商会議の開催で多忙な中、米国は再びTikTokに対して行動を起こしたと指摘。中国企業が同アプリを所有することに伴う国家安全保障上の懸念に対処するため、米下院の超党派議員が5日、バイトダンスに対し165日以内にTikTokの売却を求める法案を提出したこと、売却しない場合は、アップルやグーグルなどのアプリストアがTikTokを提供したり、バイトダンスが管理するアプリにウェブ・ホスティング・サービスを提供したりするのが違法になること、バイデン大統領は同法案が議会で可決されれば署名すると述べたことを取り上げ、「同法案が以前のTikTok禁止令と異なるのは、世論形成を経ずに、法案提出者がTikTokの不意を突くことを狙ったものだ」と伝えた。

論評は「TikTok側も、この禁止は悪意をもってやって来たものだと深く感じ、これまでのように座して死を待つようなことはしなかった」と指摘。TikTokが7日、1億7000万人のユーザーに向けて、議員らに抗議の電話を掛けるよう呼び掛けるポップアップを表示したことに触れた。

そして「だがこのポップアップが表示されてから数時間後に、米議会下院エネルギー・商業委員会はTikTokの売却を求める法案を50対0の全会一致で可決した。下院で今週採決され、通過すれば上院に送られる。下院、上院双方で通過すれば、バイデン政権によって実行に移される可能性が高い」と伝えた。

論評は「米国が再び、バイトダンスにTikTok売却を求めたことについて、中国の世論は『米政治家のTikTokに対する公然たる略奪だ』と怒りを表明している」と指摘。中国発のSNS微信(ウィーチャット)で、あるアカウントが「米国はと畜用の刃物を振り上げている。TikTokがどれほど道理を解き、どれほど多くの事実を提示しても役に立たないだろう。中国政府は米国の強盗行為に対抗措置を取るべきだ」と主張したことを取り上げた。

そして「同法案が実行に移されれば、中国は対抗措置を取る可能性が高いものの、TikTokのために中米関係や中国の対外開放の大局を害するようなことまではしないだろう。同法案が成立するには一定の時間と手続きを踏む必要があるが、バイトダンスとTikTokにとっては、中国と米国の駆け引きに巻き込まれることは避けられないだろう」と論じた。(翻訳・編集/柳川)

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