荒らされた休憩所、桜の木も抜かれ…地元民困惑 鹿沼の茂呂山でいたずら被害か

現場付近には啓発チラシを掲示した

 【鹿沼】自然観察や散策スポットとして知られる市東部の茂呂山で、いたずらとみられる被害が相次いでいることが12日までに、地元住民らでつくる「茂呂山を愛する会」への取材で分かった。植樹したばかりの桜の木が抜かれ、散策者用に貸し出しているステッキも壊れた状態で見つかった。同会は市に相談し啓発チラシを掲示する対策に乗り出したものの、メンバーは「皆に愛される山にしたいのに、どうして」と困惑している。

 茂呂山は市の生活環境保全林「野鳥の森」に指定された低山。植生豊かな山に咲くとされるキンランやギンランなど季節の植物が楽しめ、同会が散策路周辺などの整備に当たっている。

 同会によると昨春ごろ、たびたび休憩所が荒らされる被害があった。休憩所には散策者が作ったドングリの飾り物を10点ほど展示していたが、ほとんどが無残に壊され、机の上に散乱していた。

 その後も飾り物を壊される被害は続き、今年2月24日には、駐車場北側の憩いの森エリアに県が植樹したソメイヨシノ2本が折られているのが見つかった。

 2本とも昨年11月に植樹したばかりだったが、1本は幹が折れ、根がむき出しの状態で5メートルほど離れた場所にあった。植えられていた穴には重さ10キロほどの大きな石が置かれていた。もう1本も折れていて、断面は刃物で切断したように真っすぐだった。

 2月26日には、散策者用に同会が貸し出している木製の登山ステッキが二股に裂かれた状態で散策路に落ちていた。あずまやの柵も不自然に壊れていた。

 同会の西山義信(にしやまよしのぶ)会長(85)は「自然の仕業では絶対にない」と憤る。山に電気は通っておらず、日が落ちるとほとんど何も見えない。散策者は午前中に訪れることが多いため、何者かが夕方から夜間にかけて、いたずらをしている可能性があるとみている。

 同会は啓発チラシを同山の各所に掲示したほか、被害が続く場合は警察に相談する考え。桜の木は植え直したものの、西山会長は「エスカレートするのが何より怖い。散策者の監視の目が抑止につながってほしい」と力を込めた。

人為的に折られたとみられる桜の木の枝(茂呂山を愛する会提供)

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