King & Prince、2人だからこそ作り上げられる世界 新体制初のツアーを振り返って

昨年8月27日から12月10日まで7都市24公演を走り切った『King & Prince LIVE TOUR 2023 ~ピース~』のBlu-ray&DVDが3月13日に発売された。今回のツアーは、同年5月23日から永瀬廉・髙橋海人の2人による新生King & Princeとして再出発して以降初のツアーとなり、グループの新たな歴史を作る1ページとして、その場にいた皆の胸に刻まれた。

さまざまな思いを抱えてのツアー完走。そこに至るまでの2人の軌跡とツアーの模様を、その胸中に思い馳せながら振り返っていく。

■新たなる出発、2人だからこその力強さを見せるために

2023年7月2日に有明アリーナで開催された初のファンミーティングイベント『King & Princeとうちあわせ』にて、5枚目のアルバム『ピース』の発売発表と同時に明かされた今回のライブツアー。イベントでは喜びの歓声が上がり、その反応に永瀬と髙橋も安堵の表情を見せていた。

2月10日にYouTubeチャンネルで公開された『Documentary of King & Prince LIVE TOUR 2023 ~ピース~』のトレーラーで、今回のツアーコンセプトについて「今までのキンプリの基盤は残しつつ、“2”という数字の強さを打ち出せるような構成にしたい」と髙橋が語るシーンがある。5人から2人へ形を変えたことで、新たに気づき、見出したもの。永瀬の「一緒のものを作っていくうえで自信になっていって、胸の内を話すようになった」という言葉の通り、より真摯にお互いの思いを確かめ合い、対話を積み重ねて準備を進めてきたに違いない。

■定番曲から新曲まで、気持ちを重ねながら丁寧に歌い上げる

今回のライブツアーでは、8月16日にリリースされたアルバム『ピース』のリード曲「My Love Song」に始まり、「koi-wazurai」や「ichiban」をはじめ、デビュー当時から多くの人に愛され続けている「シンデレラガール」など、過去の人気楽曲も多数披露。アンコールでは、2人体制での最初の楽曲となった「なにもの」を歌い上げ、これまで歩んできた時間を抱きながら新たな未来へ向かって前を向く彼らの胸中が描き出されているような選曲だったように思う。2人だからこそ織りなすことのできる心地よい調和が、どの楽曲においても奏でられていた。

映像作品の発売前から公式YouTubeチャンネルでは予告映像が公開されており、その中でも髙橋が作詞・作曲を担当した「話をしようよ」では、向かい合い寄り添うように、丁寧に歌声を重ね合わせる2人の姿が印象的だった。これから積み重ねていく新たなKing & Princeの未来を、お互いと、そしていつでも力強く彼らを支えるファンと共有し合う、あたたかくも力強い幸福な時間がそこには流れていた。

■2人のKing & Princeにしか作れない世界で見る未来

Blu-ray&DVDの初回限定版 特典映像には、ライブ映像を本人たちが視聴しながら思い出を語らうビジュアルコメンタリーやMCダイジェスト、バンド演奏やダンスなどで伴走し続けたジュニアの7 MEN 侍とのゲーム対決などの限定映像コンテンツも収録。ビジュアルコメンタリーでお菓子やたこ焼きに舌鼓を打ちながら、ライブの裏話にゆるく興じる姿はなんとも微笑ましい。通常盤には2時間半を超えるドキュメンタリーも収められ、打ち合わせやリハーサルの密着映像、メンバーが各地を楽しむ様子も見られる。

兄弟にも、親友にも、そして戦友にも近い、2人の関係。ときにはぶつかり合い、膝を突き合わせて思いを束ねながら、最後には一緒に前を向く。その根底には、「King & Princeが好き」という純然たる愛がある。来る4月と5月には、5周年アニバーサリーイヤーの最後を飾るイベント『King & Princeとうちあげ花火』の開催が決定している。コンサート会場を超えて多数のファンとともに2人が仰ぎ見る夜空には、どんな景色が待ち受けているのだろうか。

(文=神田佳恵)

© 株式会社blueprint