空調設備工事13社24年春の採用計画、目標人数確保は4社/本社調査

空調設備工事会社13社の今春(2024年4月)入社の新卒採用数は合計715人となり、前年実績比で25人上回る見込みだ。6社が増加し、減少は6社だった。目標人数を確保できたのは4社で100人以上を確保したのは1社だけだった。「母集団形成」「採用活動早期化」などが採用活動の課題に挙がり、人材確保競争が激化している状況がうかがえる。技術系の採用数は566人(前年比2人減)の見通しだ。
アンケートは1月25日~2月27日に実施。今春入社見込みは高砂熱学工業が最多の135人(62人増)を確保する。時間外労働の上限規制対応や事業拡大に向けて採用を伸ばした。次いで大気社が昨春よりも16人多い91人を受け入れる。三機工業は39人減となった。
23年度の中途採用数は4社が前年度と比べ増えた。総数は244人(1人増)。うち技術系は150人(13人減)だった。即戦力として期待が高まり6社が中途採用を「増やしている」と回答。「現場での人手不足を解消し、残業時間を削減させるため」「工事量の増加、残業規制による人手不足への対応」などを理由に挙げた。
来春(25年4月)の採用計画数は13社すべてが回答。うち11社が採用数を伸ばす目標を掲げる。新日本空調は「将来を見据えた技術職の充実とAI・システム系の人員を強化するため」との方針を示す。新菱冷熱工業は「手持ち工事量が過去最高を更新し、人手不足を解消するため」とした。各社は採用要件を見直し、地域限定採用や通年採用、キャリアリターン制度、オファー型・スカウト型求人システムの利用など試行錯誤する。
産学協議会の要望により、25年卒の就活生から採用活動に直結するインターンシップ(就業体験)が正式に認められる。優秀な学生ほど早期に就活を開始していることが多く、ある空調大手の人事担当は「学生は業界・職種理解ができるコンテンツを求めている」と分析する。業界・職種への理解がある程度深まった時点で、自社の魅力を伝え、業務体験ができる内容が必要になる。
三建設備工業は会社説明会を対面とオンラインどちらも実施し、学生に寄り添った丁寧な個別対応を心掛ける。研究所や研修センター見学も積極的に実施している。ジョンソンコントロールズは「ミスマッチを防ぐため、仕事紹介動画を制作し、ソーシャルメディアを通じて広く発信している」と戦略を明かす。「インターンシップの段階でいかに学生を集め、採用までつなげられるか」(テクノ菱和)が鍵になりそうだ。

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