能登半島地震/佐藤信秋参院議員が新たな施策提言、復興基金やインフラ改良復旧を

自民党「能登半島地震対策本部」(本部長・茂木敏充幹事長)の事務局長代理を務める佐藤信秋参院議員が日刊建設工業新聞などの取材に応じ、インフラの改良復旧や防災集団移転などの施策を政府に働き掛けていく考えを示した。2月に2度にわたり被災現場を視察し自治体の首長らから意見を聴取。復旧・復興事業などに充てる自治体の財政負担を極力減らすよう求められており、2016年熊本地震の時のような復興基金や復興特別交付税などによる強力な財政支援の必要性を訴えた。
1月に続き2回目の私案として復旧・復興施策の提言をまとめた。近く党の能登半島地震対策本部に提出。被災した道路や河川などのインフラについて緊急復旧から応急復旧、本復旧へと着実にフェーズが変わりつつある被災地の状況により着目した施策を加えた。
主な提案施策は▽被災自治体向けの強力な財政支援▽長期間の利用と地域建設業の活躍が見込める木造の仮設住宅整備▽道路や港湾、漁港などインフラの改良復旧▽沿道の対策と一体になった液状化宅地の復旧▽津波や土砂・がけ崩れ被災地域の防災集団移転、災害公営住宅活用▽災害廃棄物処理主体の市町村向け費用助成強化、広域処理展開▽上下水道施設の耐震性強化と分散配置▽無電柱化の推進-など。
佐藤氏は2月16日に石川県の輪島市、同29日に珠洲市を中心に見て回り、大きな被害が発生したのと里山海道や国道249号沿岸部などの基幹道路、河川や漁港、浄水場、市街地を視察した。揺れに加え津波や火災、液状化も複合的に発生し被害が拡大。半島の地理的条件もあり災害対応を難しくしているという、過去に各地で発生してきた大規模災害との特異性も指摘した。
インフラ改良復旧では再被害を防止・軽減する観点から技術的な工夫が必要になると強調。例えば斜面の大規模土砂崩落が集中した国道249号沿岸部を改良復旧する場合、ルートを海側に迂回(うかい)するような線形の見直しなどを挙げた。
佐藤氏は党の国土強靱化推進本部長代理も務めている。できるだけ早期に国土強靱化実施中期計画を策定し、能登半島地震の教訓を全国の防災・減災対策強化に生かすべきとした。

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