建退共本部/退職金増額の仕組み検討を厚労省に要請、CCUS機能生かし

勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部(建退共本部、大澤一夫本部長)は、技能労働者の能力や経験に基づいて建設業退職金共済(建退共)制度からの退職金を増やす仕組みの検討を厚生労働省に求める。能力や経験に見合う処遇の付与に役立つ建設キャリアアップシステム(CCUS)の機能や連携の効果を生かしたい考え。2024年度は建退共の電子化とCCUSの連携に一段と力を入れる。=2面に関連記事
「退職金は賃金の後払い」(建退共本部幹部)とし、建退共制度を通じて処遇改善に貢献する。CCUSとの連携に取り組む中、24年度は労働政策審議会(労政審、厚労相の諮問機関)が、建退共を含む中小企業退職金共済制度の財政検証を行う。能力に応じた処遇改善などをうたう公共工事品質確保促進法の改正案の議論が進むなど処遇改善に向けた動きが活発なことも踏まえ、建退共制度の改善・見直しの一つとして退職金を増やす仕組みの検討を厚労省に働き掛ける。
CCUSの登録事業者・技能者のうち、建退共の加入情報があるのは約3割にとどまる。事業者の手続きの簡略化や技能者に対する確実な退職金積み立てなどに効果があると見て、CCUSとの連携をさらに推進。6月ころまでにシステム開発者と契約し、CCUSの就業履歴データを活用した電子申請によって掛け金納付を効率化するシステム開発に着手する。
建退共制度の掛け金納付は94・8%が証紙ベースで、電子申請の納付率は5・2%となっている。電子申請の利用状況は、共済契約者(約17・5万所)に占める専用サイトのログイン率が1月末で7・15%。ID・パスワードの付与と手続きのワンストップサービスの導入に伴って現在は約20%まで上昇、9道県はログイン率が2桁に達した。
電子申請の目標は利用者登録(ログイン率)50%以上、掛け金納付率30%以上。24年度はこれまでの取り組みをパッケージ化し、普及拡大を目指す。証紙の取り扱いを減らしたり、購入の予約制を導入していたりするような金融機関と、顧客(建設会社)への働き掛けで連携する。
公共機関をはじめ発注者に電子化の推奨を依頼する。民間発注者への要請も視野にある。都道府県建設業協会の協力を得て、モデル地区や地域の中心企業から電子申請の利用を促してもらう。既に宮城、群馬、沖縄の3県は普及促進を集中して行うことにしている。全国規模で事業展開するゼネコンなどからも協力会社への普及に努めてもらう。

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