『リビングの松永さん』“松永”中島健人が見事な告白! “健太郎”向井康二の“恋愛モード”も

同年代との恋も、年の差がある恋も、「相手への愛情」の深さに違いはない。ただ、保護者としての立場が関わってくるため、美己(髙橋ひかる)と松永(中島健人)の間では、その愛をどう表現するかが複雑な問題になる。それでも、『リビングの松永さん』(カンテレ・フジテレビ系)第10話の松永の見事な告白は視聴者を驚かせたのではないか。

松永が夏未(若月佑美)の告白を断った後、彼は帰宅してすぐに美己に夏未との間に何もないこと、そして二人の関係が終わったことを説明する。

となれば、あとは告白のみ……と観ているこちらの期待も高まるが、やはり松永は美己が未成年であること、自分が彼女の保護者代わりであることが引っかかっている様子。美己と松永には早く結ばれてほしい反面、やはりそこは視聴者としても気になるポイントだ。『リビングの松永さん』が描き出す「未成年と大人の恋」は、果たしてどんなゴールを迎えるのだろうか。

そして今回、なかなか自分の本音に素直になれない松永の背中を押したのが、健太郎(向井康二)だ。松永が美己に対して持っている本音を確信した健太郎は、松永にその気持ちを素直に伝えるべきだとアドバイス。さらに、健太郎は朝子(黒川智花)に相談し、松永が美己を恋愛対象として見るように仕向けるため、水族館でのWデートを計画する。

健太郎といえば、普段はノリよく松永に絡み、シェアハウスのムードメーカー的存在でもある。しかし、実は誰よりも相手のことをよく見抜く大人な一面があることを、私たちはもうすでに知っている。それは過去回で、健太郎が美己や松永の“サポート”をさりげなくこなしてきた姿を見てきたから。

今回はついに、健太郎自身の恋にも動きが見えた回となった。デート当日、水族館で健太郎と朝子は松永と美己が二人きりになるように手を打つ。一方で、健太郎がこの日、朝子を水族館へ誘った背景には別の理由があった。

「去年も、一昨年もたまたまって言ってあたしに付き合ってくれたもんね」

健太郎は、なんと3年連続で朝子の“離婚記念日”を、彼女が辛くならないように一緒に過ごしていたのだ。第10話で、思いを向ける女性に一途な彼の良さが光ったワンシーンが、水族館での朝子とのやりとりだろう。

もう傷つきたくないからこそ、あと一歩が踏み出せない自分を「なーんか私だけ枯れてるなぁ」と卑下する朝子に、「その呪い、試しに俺が解いてみようか?」とサラッと甘い言葉をかける健太郎。そのやりとりの中にも漂う大人な余裕ある優しさは、演じる向井康二が纏う空気感であることを中島健人が指摘している。

「康二が智花ちゃんに対して、一日中、本当にジェントルな空気感を出していたのに感動した。芝居もめちゃくちゃ良かった」

中島健人も太鼓判を押す、向井のジェントルな雰囲気を纏った“恋愛モードの健太郎”が今後の展開で朝子のハートを掴めるのかも大きな見どころになっていくに違いない。

一方、美己と松永の恋も今回大きく前進した。「俺、ミーコのことが好きだ」「私も松永さんが好き」と互いの思いを言葉にした2人。注目すべきは、松永の保護者としての立場をわきまえた行動だろう。

第10話のタイトルが「恋心の結末!呪いを解くキス」にもかかわらず、松永の振る舞いは、キスはしなくても伝わる思いもあることを伝えているかのようだった。もちろん、朝子と健太郎の大人のキスは素晴らしい展開なのだが、美己と松永の年齢差を考えると「大人と未成年」の恋愛の完璧な着地点だったように思う。

それぞれのカップルには、自分たちのペースで幸せになってほしい。本来恋愛とは、他者と比べるものではない。たとえ歳の離れた相手だとしても、自由に誰かを好きになって、相手と真っ直ぐ向き合うことの大切さを美己と松永は教えてくれる。来週の予告では「衝撃の展開」が仄めかされていたが、どうかこの幸せに波風が立つことなく、最終話まで走り抜けてほしいところだ。

(文=すなくじら)

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