ILCを核とした「地球村」へ知恵出し合って 盛岡で藤井健氏講演

ILCの意義や地球村の実現を説く藤井健氏

 国際リニアコライダー(ILC)に関する講演会は11日、盛岡市盛岡駅西通のアイーナで開かれ、藤井健・首都高速道路専務は自身が策定に関わった「地球村創生ビジョン」を紹介。ILCを核として共生や持続可能な社会を形成する「地球村」の実現に向け「国民が知恵を出し合う必要がある」と訴えた。

 岩手県内の企業や大学関係者ら約100人が参加。藤井氏はスイスの欧州合同原子核研究所(CERN)が▽宇宙の原理解明▽技術の社会移転▽次世代人材の育成▽世界との連帯―の四つの目標を掲げていると述べた。

 その上で、分断や地球温暖化など課題が深刻化する世界に対し、人種や宗教、言語を超えて手を携え、解決に取り組む地球村のビジョンを説明。地域と研究所が一体となり、四つの目標を発展させる上でILCが重要と指摘した。

 建設には巨額な資金が必要となるが「世界の人たちが日本を信用して未来へのプラチナチケットを託そうとしているのに放棄していいのか。国民で知恵を出し合い、財源をどうつくっていくか考えていかなければならない」と力を込めた。

 NTTファシリティーズの平井貞義・街づくり推進部副部長は、研究者を受け入れるための医療や教育環境の充実、ILCの関連産業創出など経済効果を地域に循環させる仕組みづくりを唱えた。講師と県内の商工業・農業の青年団体トップとのパネル討論も行った。

 岩手大と県立大、地球システム総合研究所ILC計画研究会が共催した。県立大の鈴木厚人学長は「ILCは実現直前にある。新しい社会をつくり、学術面での新たなチャレンジを同時に進めていくことが大事だ」とあいさつした。

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