「この日本人スターに注目」平野美宇vs早田ひな、決着後の“握手”をWTT公式が称賛! お辞儀にも脚光【卓球・シンガポールスマッシュ】

敗北直後の振る舞いが脚光を浴びている。

現地3月10日から熱戦の火蓋が切られた卓球・シンガポールスマッシュ。女子シングルス1回戦でいきなり日本人対決が実現し、パリ五輪のシングルス代表に内定している平野美宇(世界ランク18位)が早田ひな(同5位)を3-0のストレートで撃破。2回戦に駒を進めた。

国際大会での両者の対戦成績は7勝7敗とまったくの五分。序盤から息詰まるハイレベルなラリーが繰り広げられた。

まず先制したのは平野。得意のバックハンドで強気に攻めると、早田のリズムを崩して第1ゲームを奪取。続く第2ゲームはフォアで攻めた早田が終盤までリードするも、平野がロングサーブをしっかり狙い打ち、デュースまでもつれ込む熱戦に。最後は平野のボールがネットインするツキも味方し、13-11で連取した。

第3ゲームは全日本女王の早田が点数を重ねるも、王手をかけた平野がすぐに点差をつめて、中盤に5連続ポイントを挙げて逆転に成功。崖っぷちの早田はチキータなどで応戦するが勢いを止めることができず、最後は平野が強打を浴びせて勝利。パリ五輪代表対決は平野に軍配が上がった。
2人の激闘は、大会公式から「見逃せない好試合」としてピックアップされた。

ワールドテーブルテニス(WTT)のマッチレビューは「ミウ・ヒラノは第5シードのヒナ・ハヤタを早々と敗退させ、初日最大の番狂わせを起こした」と評し、「ヒラノがストレート(11-8、13-11、11-7)でハヤタを破ったため、この番狂わせは一方的なスコアとなった」と論じ、意外な決着だったと伝えている。

勝利を収めた平野は「最近早田選手に負け続けていましたが、これまでの試合がどれだけ難しく接戦だったかを考えると、まさかストレートで勝てるとは思っていませんでした」と話し、本人も予想しない決着だったと振り返る。

記事では「ヒラノは最初から最後まで優勢だった」と言及。一方、敗北を喫した早田については「第2ゲームで好調さを取り戻して有利に試合を進めていたが、ゲームポイントを掴むことができず、十分ではなかった」と指摘。勝負所でゲームの流れを引き寄せることができず、勝機を逃したと分析した。

ただし同メディアは、平野と早田の試合後の振る舞いについて称賛を送っている。勝敗が決した直後、お互いの健闘を称え合うかのように2人は握手。お辞儀するシーンをWTTオフィシャルスチールは見逃さず、その場面を記事の末尾に添えた。 日本女子卓球界を牽引する黄金世代のスポーツマンシップ溢れる行動に触れながら、「ヒラノは世界ランキング1位で最強女王である中国の孫穎莎(ソン・エイサ)から勝利を収めた数少ない選手のひとりだ。ハヤタを破り2回戦でエリザベタ・サマラ(ルーマニア)と対戦するこの日本人スターに、ファンが注目するのは間違いない」と平野の躍進を予見。予想通り、彼女は2回戦で相手に1ゲームも与えない電光石火のスピードで完勝。3回戦では同世代の伊藤美誠と対戦することになった。

早期敗退となった早田は「良い場面もありましたが、試合を通して感覚を掴むことができず、不運なショットも何本かあって、最後のポイントを獲得することができませんでした」と反省を述べる。

続けて、「全体的に良い時も悪い時もあったと思いますが、この経験を次に活かしたい」とも述べ、気持ちを切り替えた。その言葉通り、早田は12日にパリ五輪に挑む張本智和と組んで混合ダブルス2回戦に登場。ブラジル・ペアに3-0で快勝し、ベスト8入りを決めた。
今夏のパリ五輪まで約4か月半。研鑽を積みながら、加速的に進化する黄金世代の姿には海外も熱い視線を注いでいる。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】平野美宇が3回戦進出! 相手は”黄金世代”の伊藤美誠

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