【アイスリボン】真白優希、復帰後の大きな野望「プロレス大賞を取りたい!」

女子プロレス・アイスリボンの真白優希は2020年8月にデビューするも、「もともと3年と期限を決めて飛び込んだプロレス人生」と2022年12月に引退したが、2024年1月後楽園ホール大会でプロレスラーとして復帰した。

そんな真白に引退から復帰までのいきさつや復帰戦、3月23日後楽園ホール大会でのトライアングルリボン新王者決定戦についてなどを訊いた。

――まずは遅くなりましたが、お帰りなさい!

真白 帰ってきましたー ただいまー!

ーーでは復帰までのいきさつをうかがいたいのですが、2022年12月31日後楽園ホールでの対鈴季すず戦で引退されて、それからはどうされていたのですか。

真白 引退してから1カ月くらいは家に引きこもってました(笑)。人と会わない生活を送っていましたね。

――それは今までの反動ということですかね。

真白 それがやっぱり大きいと思います。人前に立つ仕事をすごくしていて、精神面とか体力面で闘っていた部分が私の中にすごくあったので、それがイッキに溶けたみたいな感じで、脱力感のあるまま1カ月過ごしていました。

――なるほど。ゆっくりしたいっていう気持ちが芽生えたわけですね。その先は…?

真白 そろそろこの生活からは抜け出したほうがいいなあって思って、まず一人暮らしを始めたんですよ。私自身、気合を入れる気持ちで(笑)。それで資格の勉強も始めたんですよ。仕事もしつつやっていました。その間にも、普通にプロレスも観ていて、プロレスには触れあっている生活でしたね。

――そうだったんですね。では古巣であるアイスリボンに行ったりとか…。

真白 いえ、アイスリボンはなくて、男子が多かったです。私がチケットを買って、お客さんの立場としてみることを経験したことがなくて、経験してみたいという気持ちで(笑)。

――特に印象的な団体や試合はありましたか。

真白 新日本プロレスの両国国技館に行ったんですよ。それがすごく印象的でした。客席も人で埋め尽くされていて、なかなか見ない光景だったので。リーグ戦をやっていて、優勝戦の時でした。

――『G1クライマックス』の大会でしょうかね。

真白 そうです。G1の大会でした。優勝したのはたしか…眼力の方です。

――内藤哲也選手ですね。

真白 そうです!内藤さんが優勝しました。私も一緒に内藤ポーズをしました(笑)。

――結構、楽しんでますね(笑)。ほかに女子の大会も行かれたりしたんですか。

真白 女子団体はスターダムさんを見に行きました。「ところざわタウン」でやった時に。ここは私がプライベートでも遊びに行っているところなので、行ってみたいなと思って。すごく面白くて、ファンの方もいっぱい声援を送っていたのが印象的でした。

――結構、いろいろ行かれています。引退後にシードリングの大会へ観戦に行かれたものをX(旧Twitter)に挙げられていましたね。

真白 はい、(海樹)リコの応援に行きましたね。リコがすごくカッコ良く見えて…同期でもあり、パートナーでもあったので、熱意を込めて応援していました。

――いま、お話を聞いていると、ファンとしてプロレスを楽しまれている感じで、なかなか復帰に結び付いてこないのですが(笑)。

真白 いや、実はすごく復帰したいと思った試合がありまして…。

――お!ファンとして見ているなかにきっかけがあったんですね。

真白 はい、イケメン(黒潮TOKYOジャパン)さんの興行(2023年11月7&8日、新宿FACE)があったんですよ。

――これはまた意外な人物の名前が出てきましたね(笑)。きっかけはイケメンさんでしたか。

真白 はい、WWEから帰ってきて2日凱旋興行をやられた時の1日目に行ったんですよ。映像ではイケメンさんの試合を見たことがあったんですけど、生で見るのが初めてで、お客さんとの一体感というか巻き込む力がすごくて。そもそも最初から対戦相手のバラモンさんが水をぶちまけているんですよ! それで、最前のお客さんとか、仕事帰りのスーツのお客さんがびっしょ濡れなんですよ。もう、バッシャバシャ掛け合っていて。そんなカオスな状態だったんですけど、私はその光景がお客さんと一緒に試合をしているように見えて。お客さんも第1試合から盛り上がっている。「ウォー」っていう驚きの声が何回もあって、イケメンコールの大合唱もあって。私はそれに感動しちゃって、「なんだこの興行は?」みたいな。この時、私はこういうプロレスがしたかったんだって思ったんですよ。たとえば、仕事に疲れて、もう何もやる気がなくなっていた人がいたとします。その人が試合を見て、生きる道じゃないですけど、また仕事を頑張ろうっていう気持ちになるものを提供したかったんだって。その時、ダイエットの神様じゃないですけど、プロレスの神様が自分の中に降りてきたっていう感じですね。

――イケメン選手やバラモン兄弟選手が真白さんの背中を押していたとは素敵ですね。それで復帰を頭に描いてからの行動というものは?

真白 プロレスをやりたい、どうしよう、でも行動しなきゃ意味がないなって思ってて。ちょうどその時、アイスリボンさんから戻ってこないかっていうような話もいただいて。辞めた身だからまた戻ってくるのもなあ、とも思ったんですけど、そういう話もあるのであれば、頑張ってみたいなっていう思いのほうが強くて、「やります、また(リングに)立たせてください」って返事しました。

⇒次ページ(復帰宣言、復帰戦を振り返り、目標)へ続く

――それで昨年12月31日、ちょうど引退から1年後の後楽園ホールに姿を見せて、復帰を宣言されました。この時、控え室のほうで、真琴選手を対戦相手として指名されました。なぜ真琴選手だったのでしょうか。

©アイスリボン

真白 プロレスを辞めてからも真琴さんが気にかけてくれていたことが大きかったです。もともとは真琴さんの会みたいなものが開かれていて、そこに呼んでくださって。真琴さんの好きなキャラクターの鬼滅の刃の煉獄杏寿郎さんお誕生日会にもお呼ばれしたりもして。そういうのもあって、私が引退しているのに、気にかけてくださっている先輩というのが、すごくうれしかったんですよ。私はこういう方を大切にしたいなって思って、復帰の相手にお願いしました。

――なるほど。復帰戦の背後には、真琴選手らしい心遣いがあったんですね。その後楽園大会はちょうど1年ぶりに見るアイスリボンの光景でしたが、久々に見ていかがでしたか。

真白 私の知らない「希望のリング」のメンバーとかもいて、若手が増えたというイメージで、また頑張んなきゃなっていう刺激を受けましたね。

――特にその中でも印象的だった選手は?

真白 (藤滝)明日香さんとか古川奈苗さんが印象的でした。アイスって細身の子が増えたんですけど、こういう重量級が少ないじゃないすか。トトロさんはいますけど。そのなかで一生懸命頑張っている藤滝さんを見てて、私も新人のころガムシャラだったなあっていうのを思い起こしました。私の中でも初心を忘れずいきたいなって思いました。

――復帰前に良い刺激でしたね。発表から、1月27日の復帰戦まであまり時間もなかったわけですが、久々にリングでの練習というのはいかがでしたか。

真白 1年分の体力を取り戻さなきゃってすごく焦っていました。練習を試合の感じでやったんですけど、息切れがすごかったんですよね。それがすごいショックで、だったらそれ以外に自主練で走ろうと思って。

――元陸上部らしく(笑)。

真白 はい、本当にそうです(笑)。毎回、家の近所に走るコースがあるんで、そこを走ったりとか、地元の子と一緒にトレーニング付き合ってもらってしていました。

――こうして復帰戦当日を迎えるわけですが、まず最初の印象として、コスチュームのデザインも変わっていましたね。

真白 肌を見せるコスチュームを作ろうと思ったのと、以前のコスチュームがアイドルっぽい、かわいらしい感じだったので、ちょっとオトナっぽい、変わった真白、っていう衣装を作りましたね。

――試合のスタイル的には、復帰前までとは何か意識してかえてみようと思ったことはありましたか。

真白 スタイル的には変わらないんですけど、その中でも強い真白を見せたいなって。ドロップキックでも(押し込む力を)強くしたりとか、素早い動きをしたりとか、ここは緩急をつけたりとか。そういうところは意識しました。

――あの日、観客席は「お帰りー」みたいな雰囲気に包まれていましたが、真白さんにはその声援は届いていましたか。

真白 めちゃめちゃ届いてました。ああいう声援がすごくうれしかったんで、めちゃめちゃ頑張れました。

©アイスリボン

――正直、見た感じだと1年ぶりというブランクは感じなかったのですが、実際やってみていかがでしたか。

真白 結構私自身も変わったなっていうのはありました。筋肉も付けて体重も増やしたりはしたんですよ。なので、受身は取りやすくなりましたね。

――試合後、コメントで「後楽園ホールを満杯にしたい」と言われてましたがどういう気持ちからだったんでしょうか。

真白 あの日のお客さんの数もそうだったんですけど、客席を見て、すごく悔しかったのがあって。私が引退した時の後楽園はある程度のお客さんが入ってたんで、改めて自分の復帰戦を見たときにお客さんが少なすぎるって思ったんですよ。これはダメだし、選手のみんなも…みんなで頑張らなきゃなって思って。表に出すことによって、私自身も頑張れますし、上から目線になってゴメンナサイなんですけど、みんなも頑張れるかなっていう気持ちでああいう発言をしました。

©アイスリボン

――なるほど、では、この先の後楽園ホール大会は選手みんなの力で、観客が増えて行ければいいですね。さて復帰までは平穏無事だったのですが、なんとその後、真白さんがトライアングルリボン王者であることをアピールされてました。そもそも、振り返れば6度防衛されているんですね。

真白 そうそう、6回も防衛しているんですよ(笑)。

――ベルトの対しての思い入れというのはいかがですか。

真白 あのベルトは何よりも思い入れがあります。ベルト獲ってからの防衛記録もそうですし、持っている期間も長いので(2022年1月獲得)、愛着があります!

――ずっと保持していたとしたら、まる2年以上ベルトを守っていることになりますね(笑)。

真白 そうなんですよ、私のもう一人の真白優希という名のベルトだと思っています!

――もう分身なわけですね(笑)。その6度目の防衛が引退直前に行なわれた真白さんの道場マッチ(2022年12月25日)でのプロデュース大会でした。相手が松澤さん&本間多恵さんでした。防衛後、ベルトはどうされたんですか。

真白 あの後、ベルトは家に持って帰りました。それから、ずっと保管していて、あの場でも引退試合でも返上はしてないんです。それから一般人にはなりましたけど、ベルトはずっと持っていると思っていました。

――一般人になっても(笑)。

真白 はい、あの道場マッチの日に家に持って帰って、それからずっと家にありましたので、自分が王者のままです!

――それに異を唱えたのが松下楓歩選手だったわけですが、1年ぶりに試合してみて成長ぶりというのはどう感じましたか。

真白 私がいない1年ですごく成長したのは感じましたね。動きも素早いですし、見てて強くなったのはわかりました。先輩後輩関係なく、一選手として、動きも素早くて、追いつけないっていう瞬間がすごくあって、「ああ、負けたなー、くやしいー」っていう瞬間が増えましたね。

――3月2日の道場マッチではその楓歩選手に敗れてしまいまして、試合後、「ベルトを会社に返上してください」とアピールされてしまいました。

真白 「返上してください」と言われても、その認識はなくて、私がベルトを持っている王者なので、「あ、ベルトにちょっと興味あるのかな」って思いました。

――楓歩選手自ら言ってきたわけですからね。で、翌3日の新木場大会ではフォールを取り返してリベンジを果たし、3・23後楽園でのトライアングル戦を表明しました。この時、真白さんは「防衛戦」と言われていましたね。

真白 道場マッチの負けを新木場で取り返したので、これは絶対言わなきゃと思って。「防衛戦として、リングに上がって来いよ!!」って言い方をしたら、「受けてやりましょう!」って言ってくれたので良かったですね。

――MIOレフェリーは「防衛戦でなく、決定戦だ」って否定されてましたが。

真白 言われてましたね(笑)。でも、これは第44代王者、7回目の防衛戦です!

――真白さんの心意気は十分にわかるのですが、その後、団体から届いたリリースには「王座決定戦。勝者が第45代王者となる」と明記されていますが…。

真白 えっ、本当ですか? ちょっとー。会社が認めてくれなくても、そこは譲らないです!

――真白さんもこの問題に関しては、一歩も引きませんね(笑)。では決着がどうなるのか、当日を見届けたいと思います。さて、復帰してまだ1か月ちょっとの状況ですが、いま、プロレスは楽しいですか。

真白 めちゃめちゃ楽しいです!普段生活しているなかで、自分を表現できて、しかも応援してくれるところってなかなかないじゃないですか。私がそれを発揮できるのがリング上なので、それがすごくうれしいですね。今、自分は生きているって思います。

――その応援してくれるっていう部分も、真白さんにとって、自分を表現すると同じくらい大事なことなんですね。

真白 はい、お客さんの声援があるからこそ、私も頑張れていることがすごく大きくて。たとえば、道場マッチをしていて、声援が少なかったりすると、「今日の試合は良くなかったのかなー」とか落ち込むことがあります。それくらい、ファンの方の応援があるからこそ、私の頑張れる力になっています。だから、すごく感謝しています。

――わかりました。では最後に、復帰戦後には今後の目標として、「後楽園ホールを満杯にする」と掲げていましたが、今の時点での目標と言えば何になりますでしょうか。

真白 プロレス大賞を取りたいなと思っています!アイスリボンで取ったのは藤本さんだけなんですよ。なので、藤本さんの次に取ってみたいなと。そういう思いはあります!

――おお、それはすごく大きな目標であり、決意ですね!

真白 目標がでっかいほど、私も頑張れます。それでこうやって言葉にしたほうが現実になる可能性もあると思うので、目標は大きく、プロレス大賞です!

<インタビュアー:泉井弘之介>

アイスリボン後楽園ホール大会
「アイスリボンマーチ2024」
日時:2024年3月23日(土)10時45分開場/11時30分開始
会場:東京・後楽園ホール

【決定カード】

▼トライアングルリボン新王者決定戦 時間無制限1本勝負
真琴 vs 真白優希 vs 松下楓歩
※勝者が第45代トライアングル王者となる

▼インターナショナルリボンタッグ選手権試合 30分1本勝負
[王者]弓李&芦田美歩 vs まなせゆうな(ガンバレ☆プロレス)&トトロさつき[挑戦者]
※第62代王者初防衛戦

▼ICE×∞選手権試合 30分1本勝負
[王者]星いぶき vs 星ハム子[挑戦者]
※第37代王者3度目の防衛戦

⇒【動画】大量の紙テープが真白の復帰戦をお祝い

【動画】大量の紙テープが真白の復帰戦をお祝い

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