自動車業界で「EV悲観論」が広がる?―中国メディア

11日、第一財経は、欧米の自動車メーカーが電気自動車(EV)開発ペースを遅らせることを相次いで発表したことをめぐり、業界内で「EV悲観論」が出ていると報じた。

2024年3月11日、中国メディアの第一財経は、欧米の自動車メーカーが電気自動車(EV)開発ペースを遅らせることを相次いで発表したことをめぐり、業界内で「EV悲観論」が出ていると報じた。

記事は、メルセデスベンツグループのオラ・ケレニウス取締役会長兼最高経営責任者(CEO)が先日開かれた株主総会で、「全面EV化」計画を断念し、燃料車の改良を続けると述べたと紹介。米アップルがEV事業を断念し、一部の欧米自動車会社がEVの開発を後ろ倒しするとの情報も相まって、業界内ではEV開発に対する悲観的な見方が出ていると伝えた。

そして、この点に関して、中国の動力バッテリー大手・寧徳時代の曽毓群(ロビン・ゼン)会長が10日に中国メディアの取材に対して「欧米メーカーはEV事業を中止して化石燃料車に回帰するわけではない。採算が合わないため、しばらく延期したということだろう」と述べたことを紹介している。

その上で「実際、メルセデス・ベンツのEV転換ペースは、市場の状況に応じてダイナミックに調整されている」とし、2020年の時点で「25年までにEVの販売比率を25%にする」という「EV優先」戦略を打ち出すと、21年には「全面EV化」へと方針を転換、25年までにEVとプラグインハイブリッド車(PHEV)比率を50%にまで引き上げ、30年までには新商品を全てピュアEVにする目標を掲げたと伝えた。

一方で、23年の同社のEV世界販売台数は24万台で、総販売台数(204万3800台)の11.7%にとどまった上、昨年通年の売上高が前年比2.1%増だったのに対し、純利益は逆に同1.9%減となったことを指摘。同社はこの状況を踏まえてEV開発計画を調整したまでであり、EV事業を完全に放棄するわけではないのだ」と説明した。

記事は、メルセデスベンツに以外にも複数の欧米自動車メーカーが不採算を理由にEV化のペースを緩めていると指摘。昨年10月には米フォードがEVへの投資を縮小することを発表し、米ゼネラル・モーターズ(GM)もEV投資を削減する一方でハイブリッド車(HEV)計画を再始動する方針を示したと伝えた。また、同12月には独アウディの新CEO、ゲルノット・ドルナー氏が短期的には内燃機関車とPHEVを推進し、ピュアEVの発売ペースを落とすと述べたことを紹介している。

また長安汽車の朱華栄(ジュー・ホアロン)会長が10日に「欧米企業は新エネルギー車の開発に消極的ではないが、開発過程でコストなどの課題に直面している。その点中国の自動車業界は課題の解決方法を持っているし、必要があれば技術や部品を輸出することもできる」と述べ、中国企業にとっては試練よりもチャンスの方が大きいとの見方を示したと伝えた。(翻訳・編集/川尻)

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