【別府】別府市は津波災害が起きた際、外国人住民や観光客にもスムーズに避難してもらえるよう、市内沿岸部に設置している海抜表示板のデザインを一新した。表示板の色で危険度を判断できるようにしたほか、平易な日本語を加えた。市防災危機管理課は「誰にでも伝わり、とにかく高い場所まで移動してもらえるようなデザインを目指した」と話している。
新しい表示板は危険度に応じて3色に分類した。津波ハザードエリア内は「赤」(危険が著しい)、同エリア外で海抜9.9メートル以下は「黄」(到達の恐れは低いが避難が必要)、海抜10メートル以上は「青」(安全)で表現。外国人住民に向け英語表記は元々入れていたが、「にげるたかさ」「うみからのたかさ」など「やさしい日本語」も追加した。
以前のデザインは1種類で、海抜のほかには学校、公民館など指定の避難所名を表示していた。土地勘のない観光客が多いことを踏まえ、安全の目安となる海抜「10メートル以上」を強調し、矢印で避難する方向を示している。同課は「特定の避難所へ向かうのではなく、遠くへ逃げることを優先してもらうことが狙い」と説明する。
同課によると、亀川、浜脇両地域などを除き、海抜10メートルラインは市内を走るJRの線路とおおむね一致しており、避難する際の目安になる。
事業費は1683万円。設置は1021カ所で3月上旬に完了した。以前の表示板は2011年度に設置し、破損や色あせなど老朽化が進んでいたという。
2月下旬には海沿いに位置する別府中央小(京町)の児童たちが張り替えを手伝った。津波災害について理解を深めてもらうことが目的。同校は津波を想定した避難訓練も定期的に実施しているという。
同課は「南海トラフ巨大地震の発生も予想されている。日頃から備えを進め、有事の際には表示板を目安に逃げてほしい」と呼びかけている。
<メモ>
別府市によると、市の人口約11万2千人のうち、外国人住民は約5千人(2月末時点)。英語が通じない外国人も多いため「やさしい日本語」がコミュニケーションの手段として近年、注目されており、県教委などが普及を進めている。