温かな持ち合い(3月13日)

 経済界の「身びいき」か。企業が他社との関係を強めるために確保する政策保有株だ。互いに持ち合う場合も。よそからの干渉を排し、経営の基盤を安定させる狙いがある▼そんな「お仲間株」への風当たりが年々強まっている。海外などの投資家は批判する。「会社の体質が閉鎖的になり、お金のやりくりも含めて透明性が失われる」。わが国特有の慣行は見直され、解消に向かう動きが広がりつつあるという。「ニッポンは改革に向かっている」と、最近の株高にも影響しているとか▼災禍の痛手が、いまだ癒えない北陸地方には、むしろ身びいきを強めたい。観光復興を後押しする「応援割」の利用が、今週末に始まる。福井、石川、富山、新潟の4県を対象に半額が補助される。予約の電話が殺到し、既に受け付けを終了した旅館もあると伝わる。13年前の震災後、本県は全国から数え切れない来訪と激励を受けた。今度は、かの地へ旅支度を…▼活況の市場にあやかり、「北陸応援株」を想像してみる。「地域が一歩ずつ元気を取り戻しています」との知らせが、株主への何よりの配当だ。春まだ浅い被災地と温かな縁を持ち合っても、決してお叱りは受けまい。<2024.3・13>

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