九重町筋湯温泉郷のコケアート修復 町観光協会、誘客キャンペーンに向け【大分県】

きれいになったコケアート。「写真を撮りに来て」とPRする岡山直之さん(前列中央)ら=九重町
丁寧にコケを削り取る参加者

 【九重】九重町の筋湯温泉郷にあるコケアートが修復された。制作から年数がたってコケが成長し見えにくくなっていたため、関係者が美しくよみがえらせた。JRグループが大分、福岡両県への誘客を図るデスティネーション・キャンペーン(DC、4~6月)に向けた町観光協会の取り組み。

 作品は、熊本県小国町のアーティスト岡山直之さん(62)が5年ほど前に手がけた。温泉街の町道沿いにあるコケが自生する壁をキャンバスに見立てた高さ約2メートル、幅約30メートルの大作。コケを削り、ジブリ作品に登場する「トトロ」や「ロボット兵」など7体のキャラクターが描かれている。

 DC効果で増加が見込まれる観光客に喜んでもらおうと、2月20日に作業を実施した。岡山さん、協会職員、温泉街のメンバーら十数人が集合。こてや金属製ブラシで余分なコケを丁寧に削り落とし、2時間ほどでアートが再び鮮明に現れた。

 岡山さんは「山中の温泉なので、森の中でキャラクターに出合えるようなイメージで描いた。時間がたつとなじんで味が出たり、自然の力で見え方が変わることもある。変化を楽しんでほしい」と話す。

 協会はDCに向け、町内各地の温泉や施設のPRを強化する。久大線沿線だけでなく、町全域に効果を広げたい考え。

 筋湯温泉観光協会の武石正伸会長(57)は「コケアートは宿泊客やツーリング客に好評だった。久々にきれいになったので、もう一度見に来てもらいたい」と呼びかけている。

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