自動運転、広がる実証実験 新東名で「レベル4」も ITS Japanがフォーラム開催

自動車・電機メーカーなどが参画する「ITS Japan」は11日、オンラインで「第18回日本ITS推進フォーラム」を開催した。内閣府と関係省庁のキーマンらが集い、自動運転や高度道路交通システム(ITS)の取り組みを報告した。

新東名高速道路(中日本高速道路提供)

政府は2040年度の社会像を念頭に、人口減少やデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現などの課題に対応した道路政策の策定を進めている。そこで重要な役割を果たす自動運転については昨年4月、特定の条件下でシステムが主体となって運転する「レベル4」が改正道交法で解禁されたが、まだ実証実験の段階だ。

講演した警察庁長官官房参事官の池内久晃氏は2024年度中に、新東名高速道路一部区間に100キロメートル以上の自動運転車用のレーンを設けて実証実験を行うと話した。トラックドライバー不足の社会課題を「レベル4」で解決するのが狙いで、実施するエリアを2025年度までに50カ所、2027年度までには100カ所に拡大させる。国土交通省道路局の高度道路交通システム(ITS)推進室室長、和賀正光氏によると、自動運転トラックの実証実験を今後行う候補地は北海道から沖縄までの全国が対象だという。

国内の自動運転の普及に障壁となるのが電波(周波数帯)の割り当てだ。総務省総合通信基盤局の新世代移動通信システム推進室室長、増子喬紀氏は自動運転に用いる通信には携帯電話のネットワークを利用するV2Nと、車載システムが道路、歩行者、対向車や後続車などとデータをやり取りする“協調型”のV2Xの組み合わせが必要だと指摘した。

米国、欧州、中国がV2Xの通信に割り当てている5.9GHz帯を、日本は放送事業で活用しており、自動運転には760MHz帯を使用している。増子氏は海外との「調停・ネゴシエーション」を実現するには日本も自動運転に5.9GHz帯を使いたいとして「2040年ごろに新たな通信方式が求められると想定すると、2030年ごろには(5.9GHz帯を)導入したい」と同省の見解を述べた。

内閣府の科学技術・イノベーション推進事務局参事官、木村裕明氏は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で内閣府・企業・大学が「スマートモビリティプラットフォームの構築」の活動に取り組んでいると紹介。産官学で連携して、自動運転を社会の幸福度を高めるウェルビーイングに役立てたいという。

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