「被爆証言漫画、紙芝居風の動画に」 小峰さん、核兵器廃絶への思いを発信

漫画の中で、小峰さんが度重なる差別に苦しむ場面。手前は試写会に参加した小峰さん=長崎市岡町、長崎原爆被災者協議会

 長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)が、被爆者の小峰秀孝さん(83)=長崎市=の半生が描かれた漫画を「動画」にした。データ化した漫画を一こまずつ分割し、それぞれにナレーションを付けた。紙芝居風の仕上がりで、4歳で被爆した小峰さんが戦後経験した壮絶ないじめや差別、核兵器廃絶への思いなどを分かりやすく伝える。
 来年の被爆80年に向け、被爆証言などを世界へ発信するプロジェクトの一環。長崎被災協が12日、市内で完成試写会を開き、13分半の動画をユーチューブで公開した。今後、英語字幕も付ける予定という。

動画の試写後に感想を語る小峰さん=長崎市岡町、長崎原爆被災者協議会

 基になったのは、漫画家の西岡由香さんが手がけた被爆証言漫画集「被爆マリアの祈り」(2015年、長崎文献社刊)。この中に小峰さんの被爆体験や学校でのいじめ、結婚差別などを描いた作品「じいちゃん その足どんげんしたと」が収められている。動画化について西岡さんや同社も承諾した。
 動画制作は被爆者の長野靖男さん(81)が担当。昨年から漫画のデータを一こまずつに切り分け、セリフなどは人工知能(AI)を活用して音声化した。
 12日の試写会には小峰さんも参加。30年余り前に語り部となり、今では年間70回ほどのペースで、子どもたちに原爆被害の残酷さや平和の尊さを伝えているという。動画を視聴した小峰さんは「私も83歳で、経験を後世に残すことは大事。(将来は動画が)私の代わりに子どもたちへ伝えてくれることを、うれしく思う」と語った。

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