須賀川発の技術、スペインへ サッカー本場で選手支援 ファーストヘルステックの「AI靴中敷き」

「AIインソール」を海外に売り出す熊田さん(右)。左は坂入さん

 福島県須賀川市のファーストヘルステックは、人工知能(AI)を活用し歩行中のデータから設計する独自の靴の中敷き「AIインソール」の海外への販路拡大に乗り出す。サッカー・スペインリーグ3部のクラブに採用される見通しで、今春に選手に試してもらい、その後、正式契約を結ぶ予定だ。選手一人一人の足裏の特徴に合わせ、けがの予防などにつなげる。県内発の足を守る技術が、サッカーの本場で活用される。

 AIインソールは、さまざまな足のデータを学習したAIを活用したオーダーメード製品。福島大共生システム理工学類の樋口良之教授と共に開発したシステムで適切な形を導き出す。低コストで効率的に製品化できる。価格は3万円から。同社の義肢装具士の知見を取り入れた技術で、今年中に特許を申請する予定。

 同社は、適した中敷きを使用することで体の土台となる足の状態が矯正され、全身の筋肉を正しく使えるようになるとする。スポーツ選手の場合、体の動きが改善し、けがの予防や、けがに強い体づくりにつながるという。

 2月に代表の熊田新次さん(59)がスペインを訪れ、クラブのオーナーと面談した。オーナーは選手の故障の予防に関心があり、興味を示した。選手への提供や育成世代に当たるユースチーム向けの販売など具体的な話が進んだ。

 同社とクラブをつなげたのは、ボリビア1部リーグなどで活躍した元プロサッカー選手坂入健太さん(42)だった。須賀川市でサッカー教室やスポーツクラブを運営する「クラブ アトレティコ アウローラ」の代表を務めている。子どものけがを防ぐため同社のインソールを採用し、性能の良さを実感して知人を通してスペインのクラブを紹介した。

 国内市場は多くの製品で飽和状態にあり、同社は海外に活路を見いだしたい考えだ。熊田さんは「多くの人を足から健康にしたい。世界で活用してもらえるよう質を高めたい」と語った。

 同社は2022(令和4)年のふくしま産業賞特別賞を受けた。

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