米航空各社、ボーイング機納入遅延で輸送能力拡大増強に暗雲

Abhijith Ganapavaram Rajesh Kumar Singh Shivansh Tiwary

[12日 ロイター] - 米航空各社は12日、米航空機大手ボーイングの安全性を巡る問題で航空業界への打撃が深刻化する中、発注した航空機の納入の遅れが広がっており、輸送能力増強に向けた計画に暗雲が漂っていると警告した。

航空業界はボーイングの問題を理由に今年の納入見通しを下方修正しており、記録的な旅行需要への対応が難しくなっている。

ボーイングは、1月5日に小型機「737MAX9」のドア部分を覆うパネルが吹き飛んだ問題で、製造過程における安全と品質基準を順守していたかどうか調査が行われている状況。

そのためユナイテッド航空のスコット・カービー最高経営責任者(CEO)はJPモルガン主催の会議で「ボーイングの納入は今年大幅に遅れそうだ」と語り、「737MAX10」がいつ認証を受けられるか分からないと付け加えた。MAX10はMAX7の後に認証が見込まれている。

ユナイテッドはMAX10納入遅延でできる穴を埋めるために、欧州航空機大手エアバスに「A321ネオ」の買い増しについて打診した。

カービー氏は、A321ネオの価格で折り合いがつかない場合はMAX9の発注を増やし、MAX10の認証後、注文をMAX10に戻す用意があると述べた。

ユナイテッドは今年これまでに、MAX10を除いた航空機保有計画を構築するとしていた。

米格安航空会社(LCC)のサウスウエスト航空は同日、今年のボーイングからのMAXシリーズの納入は当初の見積もりより42%減少するとの見通しを示し、その結果として今年の輸送能力が低下する可能性を示唆した。同社が納入予想を引き下げたのは今年2回目。

ボブ・ジョーダンCEOは、同社が輸送能力を減らし、今年下半期のスケジュールを再度最適化する必要性を強調しながらも、ボーイングの最新納入予想が再び変更されても驚かないと述べた。

アラスカ航空グループもボーイングの問題を理由に挙げて、今年の輸送能力計画はなお流動的だと説明した。

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