【本プレゼント】40代~70代・年代別に指南! ライフプランとお金の付き合い方の「大原則」

今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は、新NISAを活用した資産形成について解説した花村泰廣編著『新NISAを最大限使いこなすにはどうすればいいですか? 目的別・年代別のシミュレーションで徹底解説 』の一部を特別に公開します(全4回/本記事は第3回)。

※本記事は花村泰廣編著『新NISAを最大限使いこなすにはどうすればいいですか? 目的別・年代別のシミュレーションで徹底解説 』(日本実業出版社)から一部を抜粋・再編集したものです。

40代……家計が厳しくなってきても、投資を続ける

40代は独身の人もいれば、子どもが大学生になっている人もおり、人によってライフステージが異なってくる世代です。投資の目的も多様化するため、ここでもう一度資産を整理し、今後の投資方針を見直しておきましょう。

特に子どもがいる場合、教育費のかけ方は資産形成に大きく影響します。中学受験をする場合は、小学校1年生から塾に行き始めるケースも少なくなく、私立中学に進学すれば年間で平均約144万円ほどかかります(文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」より)。

教育費は、子どもがどのような進路を進むかによっても変わりますが、塾、留学、体験学習など、かけようと思えばいくらでもかけられてしまう支出です。しかし、教育費を使いすぎると投資に回せる予算が減るだけでなく、老後資金として積み立ててきた資産も使い込むことになりかねません。

そうならないために、親がどこまで出すか「上限」を決めておくことも大切でしょう。特に、歳の近い兄弟姉妹がいる場合、教育費がかかる時期が重なります。進路が見えてきたらどのくらい費用がかかるかを調べ、予算と投資計画を見直すようにしましょう。

子どもが大きくなれば学費だけでなく、食費やスマホ代、衣服代、交際費も増えます。家計がどうしても厳しい時期は、一時的に投資額を減らすのもやむを得ません。「投資はやめないことが目標」くらいの気持ちでいるのが、この時期の乗り越え方としてはよいと思います。

50代……老後を見通し、資産のリスクを落とす

50代は、子どもの教育費にもそろそろ目処がついてくる時期です。50歳前後で、老後に向けたライフプランセミナーを実施する企業も多く、いよいよ老後を見据えた資産運用に舵を切っていく必要が出てきます。ここからは大きなリスクを取る運用は避け、資産をできるだけ減らさずに守るスタンスが必要です。

リスクの下げ方はいろいろありますが、ここまで株式ファンドに投資をしてきたのであれば、今後の積み立ては株式比率を下げたバランスファンドに切り替えていくのもよい方法です。株式や債券などの資産の比率を一定に保ってくれるバランスファンドは、資産管理の手間を減らしたい老後にもマッチしています。

資産の一部を売却して現金化し、その資金でバランスファンドを買っていく方法もあります。過去の値動きなどを確認しながら調整するとよいでしょう。

この年代の投資を考えるうえで大切になるのが、老後の具体的なライフプランです。50歳を過ぎたら一度、平均寿命くらいまで生きた場合を想定して、毎月の生活費、住宅ローンの残高、リフォーム、家電や車の買い替え、旅行などのレジャー、病気や介護への備えなど、老後に必要なお金をリストアップしてトータルでどのくらい必要かを計算してみましょう。

次に、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で将来自分が受け取れる年金額を調べます。新NISAで運用した資産、退職金、個人年金保険や企業型DC、iDeCoの資産も確認しましょう。

老後に必要な支出と、現在の資産、老後の収入(年金等)を比べ、不足している部分がこれから準備する必要のある老後資金です。ここをざっくりとでもよいのでつかんでおくと、この先の投資方針に役立てることができます。

60代……老後のライフプランを立て、取り崩しの計画を

60代で投資を始めても問題ないと思います。老後は特にインフレ対策が必要になってきます。リスクを取って攻める必要はありませんが、現金だけでは資産が目減りします。資産を減らさないための運用は、むしろ積極的に検討したいところです。最近は、再雇用やパート、起業など、60歳以降も働く人が増えています。収入がある間は、ぜひ積立投資も続けていきましょう。

60代では退職金の運用も考えていく必要があります。退職金でまとまった金額が入り、投資に回すのであれば、成長投資枠も使って、リスクを抑えたバランスファンドや債券ファンドなどの商品を買っていくとよいでしょう。退職金の一部を預金から、安定的な資産の増加が見込める場所へと、置き場所を変えていくイメージです。

投資枠がどのくらい残っているかにもよりますが、成長投資枠では年間最大240万円まで投資できます。もちろん、さらに余力がある場合は、つみたて投資枠でバランスファンド等に投資することもできます。

この世代は、持っている資産を守りながら増やすスタンスが大切です。リスクの高い株式投資などにいきなり大金を入れてしまうと、暴落時の資産の減少幅もその分大きくなりますので、注意してください。

仕事をリタイアして、年金で生活するタイミングになったら、今度は資産の取り崩しに入ります。ただし、新NISAは一生涯運用できるのがメリットです。少しでも長く運用し、資産を増やしていきたいところです。

そこで検討したいのが、先に退職金、個人年金保険など、新NISA以外の資産を使って生活するプランです。ほかの資産で生活している間、新NISAの資産はそのまま運用を続けることで、より資産の成長を促せます。

70代……健康寿命を考え、運用資産を縮小していく

70代からでも、それまでに特定口座で投資を経験している方なら、投資資金の受け皿として新NISAの口座を開いてもよいかもしれません。何度もお伝えしている通り、インフレ対策に資産運用は有効であり、非課税で運用できる新NISAは生涯を通じて使う価値があるからです。

一方で、高齢期になると病気や認知症のリスクも高まってきます。健康寿命を過ぎたら、資産管理が難しい状態になる前に、現金化することも検討していきましょう。特に、運用資産額が増えている場合は相対的に取っているリスクが大きくなっているので、早めに計画を立てておくことが必要となります。

●第4回【「50歳でスタートして、老後に月10万円使える資産づくり」は実現可能? プロの答えは…】では、50代の投資シミュレーションを事例を通して解説します。

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花村泰廣編著『新NISAを最大限使いこなすにはどうすればいいですか? 目的別・年代別のシミュレーションで徹底解説 』(日本実業出版社)

花村 泰廣/アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所 主席研究員

1986年大和証券に入社し外国債券のディーリング業務や米国株のリサーチ業務などを経て、1999年にモーニングスターの創業期に参画し、ファンドアナリストの先駆けとなる。2006年に興銀第一ライフ・アセットマネジメント(現:アセットマネジメントOne)に入社し投資信託の商品開発に従事。その後は、投資信託のパンフレットやホームページの制作、各種シミュレーション・ツールの開発等の業務を担当するなど、38年にわたって一貫して投資関連業務に携わる。現在、アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所 主席研究員。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、金融コンプライアンス・オフィサー1級。

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