【お天気コラム】全部クローン? 知ってるようで知らない桜のマメ知識

日本の桜は全部クローン!?

3月に入ってまた積雪。8日の朝は昭島の片隅に位置する我が家の庭も真っ白になりました。先日植えた梅の花が散ったあとの萼(がく)に雪が乗っかって、二度咲きしたような雰囲気になりました。「梅は咲いたか、桜はまだ〜」ということで、今日は桜の話題を。

日本産の桜は10種類ほどあり、みんなから一番よく観られているのは「ソメイヨシノ」です。桜をはじめ、多くの植物は「接木」や「挿し木」で増やすことが多く、桜は「接木」という手法で増殖させます。ソメイヨシノもこの方法で増殖させており、日本のソメイヨシノのほとんどが一つの樹から増殖されたクローンだと話題になったことも。

そしてソメイヨシノがクローンであるがゆえに、残念なこともあります。お近くのソメイヨシノに実がなっているところをご覧になったことがありますか? ない…ですよね。ソメイヨシノは被子植物(果実や種を作る植物)で「同じ樹の花は実を結ばない」性質を持っています。ソメイヨシノが実をつけないのは「個体が違っても元は同じ樹だから」なのです。(例外として、近くに違う種類の桜の樹が植わっていて花が咲いていれば、実をつける場合もあるようです)

出典:リビングむさしのWeb

開花予想にまつわるエトセトラ

桜の開花には様々な要素が関係しています。開花をスタート地点とすると、春に栄養を蓄え→夏には花芽が形成されて→秋にかけて休眠→冬期の低温刺激による「休眠打破」を経て花芽が育って開花…前年の開花から今年の開花までの1年間のサイクルはこんな感じです。なので夏には十分な「暑さ」、冬には冬らしい寒さが必要となります。四季のサイクルそのものが桜の開花に影響しているんですね。

毎年発表されている桜の開花予測についてはかなり複雑で、前年の開花から1年間の気温など、気象に関する諸条件や過去の膨大のデータなどが用いられます。今は高性能のコンピュータがあり、データの運用もしやすい世の中ですが、もっとアナログがメインだった時代はどうしていたのでしょう?

なんと…蕾の重さをはかっていたとのこと。開花前には一気に重さが増えるタイミングがあって、そこからある一定の日数後に開花の日といった具合に予測できるんだそうです。成長の度合いを重さで量るのは、動植物の観察には欠かせない方法のひとつ。蕾の中で花を咲かせる条件が育っていき、それが「重さ」として外からは見えないこと(=中の様子)を教えてくれているのです。

出典:リビングむさしのWeb

多摩川沿いにはソメイヨシノがたくさん植わっていて、春季の散歩モチベーションになってくれます。私はとある一本を超個人的な「マイ標本木」として、毎年開花を楽しみに観察しています。きっともうすぐ開花、すぐに一分咲き〜五分咲き〜満開、それぞれの姿を楽しませてくれることでしょう。その後、葉桜になっても冬の姿になっても、桜は元気を与え続けてくれる存在だなと思います。

待ち遠しい 花の季節が すぐそこに 春を探して 今日を楽しむ

出典:リビングむさしのWeb

加藤十果(かとうとか)

季節情報・防災ライター/防災士・東京防災コーディネーター・健康管理士・食生活アドバイザー・応急手当普及員・防火管理者・第三級アマチュア無線技士・ワイン検定を取得。実践的で役立つ防災術をテーマに、地域や人・企業を取材、土地リスクに合った防災や、身近な季節のことにスポットを当てる。空と富士山の変化を楽しみながら多摩川沿いを散歩するのが好き。

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