「きゅんです」。グローブとハサミの二刀流、ときどきグラビアタレント？
3月20日（水・祝）に国立代々木競技場第一体育館で開催される打撃系格闘技大会『K-1 WORLD MAX』で、第2代RISE QUEENアトム級王者の宮﨑小雪（21）との一戦に臨む菅原美優（24）。第2代K-1 WORLD GP女子アトム級王者にして、銀座の美容室に勤めるヘアスタイリストだ。
美容師経験がK-1で活きる
父親の影響で小学校1年生の頃から始めた空手で才能を発揮。高校時代に参戦したK-1のアマチュア大会では幾度も優勝を手にした。高校卒業後、美容専門学校に進学しながら格闘家としてプロデビュー。「K-1 AWARDS 2023」では敢闘賞を受賞した。
しかもK-1ファイターと美容師という二足の草鞋。「美容師もK-1と同じ立ち仕事。日々のトレーニングのお陰か、立ち仕事にありがちな“腰が痛い”“足が痛い”が私にはありません。体力面では相当な自信があります」と胸を張る。
美容師免許を取ったのは、ブライダルメイクに興味があったから。将来を見据えて手に職をつけるという意識もあったようだ。それがまさか格闘技の世界で活きるとは。「美容室ではスタイリストが次に何をするのか先回りして考えて動くことが仕事なので、ほかの選手の試合の時に私がセコンドに付いたりすると、日頃の仕事が活きている！と思うことがあります」
ヘアカット中にファイター魂が
ただし、ベルトを懸けた大事な試合が近づいてくるとちょっとだけ怖い現象も。「ヘアカット中にこめかみのラインや顎のラインを揃えているときに、ふと『ここを殴ったら効くんだよなあ』とファイターのスイッチが入ることも」。とはいえ、これまで一度も美容室でのKO被害は報告されていないので一安心だ。
シャンプー時の動作を自分の体の健康状態のリトマス紙にするという美容師も、菅原くらいだろう。「自分の体のどの場所に疲労が溜まっているのかを確認するのにシャンプーの動作は役立ちます。頭をゴシゴシする際には腕の力ではなく肩甲骨を意識することで柔軟ストレッチにもなるんです」と笑う。
間口を広げるためのキュン
実はタレント活動も。自身の口癖をタイトルに冠した写真集『きゅんです』を出版したり、銀座のショークラブでゲストダンサーを務めた際には歴代最高チップを手にしたこともある。とはいえ本分は格闘家にあると自負している。
「タレント業は女子格闘技という世界の間口を広げることが目的です。グラビアをやらせていただいたお陰で、ボディメイクやエクササイズなど、格闘技では繋がらなかったような女性からの反響も増えました。色々な角度から格闘技を知らない人をこちらの世界に引っ張って来れると感じることも多いので、自分に出来ることがあるならば一生懸命に取り組む心構えです」
3月20日の『K-1 WORLD MAX』では、K-1とRISEによる初の対抗戦として宮﨑を相手に団体のプライドを懸けた戦いに挑む。「KO勝ちの場合は相手に『あのパンチさえもらわなければ勝てた』などと言い訳を与えてしまうので、今回は判定に持ち込んで実力で完封したいです。力の差で相手の戦意を喪失させるような勝ち方を私はしたい。可愛い言い方の『きゅん』ではなく、相手選手も会場もドン引きするようなヘビーな『きゅん死』を見せつけたいです」と野獣のような目で宣言してくれた。
（まいどなニュース特約・石井 隼人）
