【インド洋=報道部・小田信博】南極観測船「しらせ」に乗船中、観測隊員や乗組員が心待ちにしていたのが、空に輝くオーロラの観賞だ。第65次隊は残念ながら天候や条件に恵まれず、目にする機会は少なかったが、3月に入って何度かチャンスに恵まれた。
「オーロラが出た」。夜中に短い船内アナウンスが流れると、急いで甲板に上がるのが恒例だ。航行中は船が揺れるため、夜空に浮かぶ光のカーテンをカメラに収めるのに四苦八苦する隊員らの姿が多かった。オーロラと同じくらい目を奪われたのが、頭上を流れる天の川だ。無数の星々が夜空を覆い、見上げてみると、幻想的な光景に吸い込まれそうだった。
第65次南極観測隊を乗せ、北上中の「しらせ」は12日、南緯55度を越え、南極圏を離れた。見慣れた氷山群や流氷は姿を消し、大海原が広がるばかりとなった。18日に寄港地のオーストラリア西部・フリマントルに入港する予定だ。