1年前に大炎上していた高齢者「集団自決」発言 キリン、それでも成田悠輔氏起用→取り下げの「奇々怪々」

キリンビールが2024年3月12日、経済学者の成田悠輔氏を起用した缶チューハイ「氷結無糖」の広告を取り下げたことを公式Xで明らかにした。

成田氏の高齢者をめぐる過去の発言が影響したとみられる。ただ、発言は23年1月に強い批判を受けており、その背景を踏まえた上での起用だ。成田氏をめぐっては、最近になって東大の学園祭にゲストとして招かれることが発表され、改めて批判が広がっていた。このことが影響した可能性もある。

2019年時点で「集団自決みたいなことをするのがいいんじゃないか」

成田氏をめぐっては、氏がかねてより繰り返し言及してきた高齢化社会への対応策としての高齢者の「集団自決」「集団切腹」についての発言が23年1月ごろ、Xで突如トレンド入りした。

主にXで拡散されていたのは、21年12月のABEMA Primeでの発言だ。

高齢化や少子化にともなう人口減少の問題について、成田氏は「僕はもう唯一の解決策ははっきりしていると思っていて、結局高齢者の集団自決、集団切腹みたいなものではないかと...」「やっぱり人間って引き際が重要だと思うんですよ。別に物理的な切腹だけでなくてもよくて、社会的な切腹でもよくて、過去の功績を使って居座り続ける人がいろいろなレイヤーで多すぎるというのが、この国の明らかな問題」などと語っていた。

19年2月開催の「G1サミット2019」の社会保障改革に関するパネルディスカッションでも

「集団自決みたいなことをするのがいいんじゃないか。特に集団切腹みたいなものがするのがいいんじゃないか」

と述べている。

こうした意見について、 老人ホーム検索サイト「みんなの介護」に22年2月末に掲載されたインタビューでは、「切腹」や「自決」という単語は「議論のためのメタファー」だとしている。その具体像にはグラデーションがあり、大きく3つのレイヤー(階層)があり得る、と説明。過激な順から「三島由紀夫がやったような文字通りの切腹」「例えば尊厳死の解禁や一定以上の延命措置への保険適用を見直すことなど」「世代交代」を挙げたが、その優先順位には言及しなかった。

そんな中、キリンビールは24年3月4日に「成田氏の広告起用を発表した。成田氏への逆風が一気に強くなったのが、その5日後の3月9日だ。この日、東京大学の学園祭である五月祭に成田氏が特別ゲストとして講演を行うことが発表されると、過去の発言を理由に批判が寄せられ、再度注目を集めていた。

Xでは、広告起用についても批判の声が噴出。「#氷結不買」「#キリン不買運動」などのハッシュタグがトレンド入りする事態となっていた。

「頂戴した様々なご意見を真摯に受け止め、総合的に判断しました」

キリンビールは12日、Xのアカウントで「3月より発信した氷結無糖についての一部投稿を取り下げました。 頂戴した様々なご意見を真摯に受け止め、総合的に判断しました。この度いただいたご意見を今後の活動にいかしてまいります」と報告した。

同日までに、成田氏が出演していたWEB広告やX投稿についても削除している。

広告の取り下げを伝えるX投稿には、13日午前10時半時点で720件を超えるコメントが寄せられている。「何が問題だったか具体的に説明してください」「起用にあたり、どんな方か調べたはずですので、知らなかったということは無いと思われます。それについては会社として問題としなかったのか」など、批判の声が多いようだ。

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