日経平均株価は「企業の実力」だけが反映されるのか、指標の仕組みを解説
2024年2月、日経平均株価が史上最高値を更新したというニュースが飛び込んできました。
そのタイミングで同じく出てきた話題が「今の株価はバブルですぐにはじけるのか?」という不安が混じった疑問。
たしかに、バブル時の価格を更新したのであれば、同様にまた突然下がるかもという考えが出てくるのは必然かもしれません。
今回の記事では株価を測る指標をもとに、バブル期の日経平均株価と現在の日経平均株価を比較してどのような違いがあるのかを見ていきます。
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【解説】株価を成り立たせる「2つの指標」
株価は多くの要素がからみ合って決まっていますが、計算上は2つの要素から成り立っており、それがPERとEPSです。
一般的に株価はPER×EPSで表すことができるとされており、それぞれが上昇することで株価も上昇します。
ここからはPERとEPSについて詳しく見ていきましょう。
株価の期待値を測る指標「PER」とは
PERとは株価収益率のことであり、株価が「1株当たりの利益」の何倍になっているかを示し、一般的に利益から見た株価の割安性を表す指標です。
PERが高いと割高、低いと割安であるとされています。
例として、株価1000円で予想1株当たり純利益が100円の場合を考えます。その場合1000円÷100円でPERは10倍となるわけです。
企業に対する成長期待で分子である株価が上がるとPERは高くなり、指標的には割高になっていくということになります。
PERは何倍が妥当という水準を示すものではありません。
投資先となる会社の過去のPERの動向を見たり、同業他社などと比較して、相対的な投資尺度として活用することが良いとされています。
企業の収益力を測る指標「EPS」とは
EPSとは1株当たり利益と呼ばれ、企業の収益力を評価する際に使われる指標のひとつです。
純利益÷発行済株式数の計算式で1株当たりにどれくらいの利益が出ているのかを求められます。
また、同じ企業のEPSと前期のEPSとの比較により、企業が順調に成長しているかを判断することもあります。
バブル期と現在の「日経平均株価」の違いは?
ご紹介したPERとEPSの読み取りは「株価指数全体」への把握にも応用できます。
現在の日経平均株価のPERとEPSをバブル期のものと比較していきましょう。
2024年現在の日経平均株価のPERとEPS
2024年3月時点における日経平均株価のPERとEPSは、一体どれくらいなのでしょうか。
3月1日時点のデータを確認すると、PERは16.8、EPSは2375.64です。
バブル期の日経平均株価のPER
次に、バブル期の日経平均の株価のPERとEPSを見ていきます。
みずほリサーチ&テクノロジーズのレポートによると「1989年は、PER理論値が22.3倍であるのに対し、実績値は63.3倍と過度に割高」であったと記されています。
その他資料をながめても、PERは平均で50〜70倍を推移していたと記録されていました。
現在の株価と比較するとかなり高い数値であり、単純な数値比較だけで「同義」とは言えないことがわかります。
今の日経平均株価は、指標的にはバブルと同義と言い切れない
現在の日経平均株価はバブル期と比較し、期待値である「PER」が牽引する株高ではなく、企業の稼ぐ力である「EPS」が牽引している株高といえそうです。
とはいえ、株式相場はずっと右肩上がりとは限りません。バブル崩壊時のようにはいかなくとも、株価が下がる可能性は大いにあります。
そんなときのためにも、予防策を講じるのがよいかもしれません。
積立投資のような手法で投資時期を分散させ、長期的に資産形成していくことが解決策のひとつといえるのではないでしょうか。
※編集部より:ご指摘を受け、記事中の誤字を一部訂正しております。申し訳ございませんでした。(2024/03/14 15:20)
参考資料
- 日本証券業協会「投資の時間 PER」
- みずほリサーチ&テクノロジーズ「迫る日経平均株価3万4,000円─ 再びの「資産バブル」には要警戒 ─」