巨匠・木村伊兵衛の足跡をたどる回顧展「没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる」

By CAPA編集部

「没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる」が、2024年3月16日より東京都写真美術館で開かれる。

秋田おばこ、大曲、秋田、1953年

■展示作品ギャラリー (タップ/クリックで拡大します)

日本の近代写真における巨匠の一人であり、スナップ写真の世界を開拓したパイオニアでもある木村伊兵衛。大判フィルムが主流の時代に、小型の35mm判フィルムを使ったライカが登場すると、いち早くその可能性に着目した。ポートレート撮影でも一瞬の表情の変化を捉える独自のスタイルを確立したほか、東京下町の日常を巧みに切り取り、新たな写真の世界を探求していった。

本展では約200点の写真作品と関連資料により、その足跡を展観していく。幼いころから写真へ興味を持ち、花王石鹸の広告部門で広告写真を撮影していた経歴も持つ。写真機材や感光材料を深く理解し、その知識や技術に裏打ちされたカメラワークが持ち味だ。

歌舞伎などの舞台写真、カラーフィルムを使った欧州の旅行記、秋田の農村を題材にしたシリーズなど、その活動は多岐にわたる。また、最後の個展となった「中国の旅」の展示プリントが最近発見され、本展で特別公開される。

没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる

会期 2024年3月16日 (土) ~5月12日 (日)
会場 東京都写真美術館 B1F展示室
住所 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
時間 10:00〜18:00 (木・金曜は20:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜 (4月29日、5月6日は開館)、5月7日 (火)
入場料 一般1,200円、学生・65歳以上1,000円、中高生800円
※小学生以下、都内在住・在学の中学生は無料

ゲストによる関連トーク

いずれも当日10時より東京都写真美術館1F総合受付にて整理券を配布。

■高木こずえ×新田樹×吉野弘章

日時 2024年4月13日 (土) 14:00~15:30
会場 東京都写真美術館 1Fホール
出演 高木こずえ (写真家 / 木村伊兵衛写真賞2009年度受賞)、新田 樹 (写真家 / 木村伊兵衛写真賞2022年度受賞)、吉野弘章 (東京工芸大学 学長)
定員 180名 (整理番号順入場、自由席)
参加費 無料

■ハービー・山口×小山薫堂

日時 2024年4月27日 (土) 14:00~15:30
会場 東京都写真美術館 1Fホール
出演 ハービー・山口 (写真家)、小山薫堂 (放送作家 / 脚本家)
定員 180名 (整理番号順入場、自由席)
参加費 無料

木村伊兵衛 (Ihei Kimura)

1901 (明治34) 年、東京市下谷の紐職人の家に生まれる。子供の頃から写真に興味を持ち、京華商業学校に進学はしたが寄席や芸者置屋に出入りする一方、写真に熱中した。卒業後に砂糖問屋の台湾支店に就職。そこでも仕事場近くの写真館に出入りし営業写真の技法を教わる。1922年、東京に戻りアマチュア写真クラブに入会、1924年に自宅で写真館を開く。1929年、花王石鹼の広告部門でプロ写真家として活動を開始。1931年、東京で開催された「独逸国際移動写真展」に大きな衝撃を受け、リアリズムの写真表現を確信する。雑誌『光画』に発表した東京下町のスナップショット、「ライカによる文芸家肖像写真展」で頭角を現し、以後、「ライカ使いの名手」として活躍する。1950年、日本写真家協会初代会長に就任。アマチュアの指導者としても、土門拳とともに「リアリズム写真」の運動を推進した。1974年没。

〈文〉市井康延

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