“欠陥リフォーム”も無償で補修!〈責任あるリフォーム会社〉だけが活用している「ある保険」とは【住宅のプロが解説】

中古マンションを購入する際、「資産価値」と「快適な住空間」の両立を目指すべく、リフォームを前提とした物件探しをするケースも少なくありません。信頼できるリフォーム会社を見つけることが必須といえますが、「リフォーム業者を選ぶ場合、3つの方法があり、それぞれ注意点がある」と、不動産コンサルタントの高橋正典氏は言います。日下部理絵氏、高橋正典氏、畑中学氏による著書『絶対に失敗しない! 中古マンションの見極め方』(ビジネス教育出版社)より、詳しく見ていきましょう。

リフォーム会社の探し方と選び方

リフォーム会社をどう探し、選べばいいのか、について解説していこう。

不動産会社の側から見ると「少しでも資産価値の高いマンション」を選ぶべきだと主張するが、リフォーム会社の側から見ると「少しでも快適な住空間」を作るべきだと主張する。どちらも正しい意見である。問題は、その双方の主張の間に挟まれる住宅購入者が、どうすべきか判断できないことだ。

「少しでも資産価値の高いマンション」にこだわると、物件価格が高くなり、リフォーム費用が削られる。また、「少しでも快適な住空間」にこだわると、リフォーム費用が高くなり、物件の条件は妥協しなければならない。しかし、ここで指摘しているのはその双方がバランス良く成就することであり、そのためにどのような選択をしていけば良いのか、である。

リフォーム会社選びの「3つの方法」とは?

そのためのリフォーム会社選びには、3つの方法がある。1つ目は、物件探しを依頼する不動産会社と並行して、リフォーム会社を別に探す方法だ。2つ目は、物件探しを依頼する不動産会社から紹介してもらう方法である。そして、3つ目が「建設業免許」等の建物知識のある不動産会社を見つけて物件探しをしてもらう方法である。それぞれメリットとデメリットを解説していこう。

まず1つ目の、リフォーム会社を単体で探す方法だが、まず国土交通省の告示による「住宅リフォーム事業者団体登録[図表1]」に登録されている16団体のいずれかに加盟している会社であることが必須であると言える。この登録制度は、住宅リフォーム事業の健全な発達及び消費者が安心してリフォームを行うことができる環境の整備を図るために同省が創設した制度である。ただ、16も団体があるので、その中でもより住宅系に強い一般社団法人日本住宅リフォーム産業協会[図表2]から探してみると良いだろう。

[図表1]「住宅リフォーム事業者団体」登録の16 団体 出所:『絶対に失敗しない! 中古マンションの見極め方』(ビジネス教育出版社)より抜粋 [図表2]上記のマークがついた団体登録会社を探すのも有力な方法である 出所:『絶対に失敗しない! 中古マンションの見極め方』(ビジネス教育出版社)より抜粋

ここで注意して欲しい点がある。それは、リフォーム会社としてはきちんとしていても、不動産売買に伴うリフォームの経験が少ない会社も多いことだ。あくまでも住宅購入とセットであることから、リフォーム会社と不動産会社が連携する場面が必ず出てくる。これまでそのような経験があるかどうか。また、積極的に連携に関わってくれそうであるかどうか、をきちんとヒアリングしてほしい。

不動産会社からリフォーム会社を紹介してもらう場合の注意点

2つ目が物件探しを依頼する不動産会社から紹介してもらう方法である。この場合のポイントは、会社として連携しているリフォーム会社であるか、ということだ。会社として物件探しからリフォーム会社への連携に慣れている場合は、取引がスムーズでメリットがある。

ただし、よくあるのが担当者やその上司が個人的に知っているレベルの紹介だ。このパターンはお勧めできない。リフォーム会社の技能や実績よりも個人的なお付き合いをベースにしているので、客観的な判断がしづらいためだ。

また、どちらにしても不動産会社を通じて紹介されるリフォーム会社である場合は、不動産会社に紹介料などが支払われることも多く、どちら側の立場で仕事をしてもらえるのかが曖昧なこともあるので注意が必要だ。そして、この場合においてもその会社が先ほどの「住宅リフォーム事業者団体登録」の登録会社かどうかを確認することをお勧めする。

「リフォーム経験が豊富」な不動産会社を探す方法とは?

最後は、物件探しを依頼する不動産会社で、建物の知識や「建設業免許」等を保有している会社を探すことだ。この場合のメリットは、物件探しとリフォームのトータルでワンストップ提案してもらえる可能性が高いこと。どちらかに偏らずに提案してもらえることは大事なポイントである。ただし、単に「建設業免許」があっても、新築分譲がメインでリフォーム提案が得意ではない場合があるので、そこは注意が必要になる。

さらにリフォームでのトラブルを防ぐために、国土交通省は指定した住宅瑕疵担保責任保険法人を通じて「リフォーム瑕疵保険」制度を設けている。リフォーム瑕疵保険では、リフォーム工事の施工中や工事完了後に、第三者検査員(建築士)による現場検査を行っている。これにより、質の高い施工が確保されると共に、後日、工事に欠陥が見つかった場合に、補修費用等の保険金が事業者(事業者が倒産等の場合は発注者)に支払われ、無償で直してもらうことができる。

リフォーム会社が、この保険を活用するためには、先ほどの国土交通省の指定する保険法人に事業者登録していなければならない。この保険が扱えるか否かも、責任あるリフォーム会社の選択基準といえる。

日下部 理絵
マンショントレンド評論家、住宅ジャーナリスト

高橋 正典
不動産コンサルタント

畑中 学
不動産コンサルタント、武蔵野不動産相談室株式会社代表取締役

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