「73歳でY字バランス」由美かおるが語る「『水戸黄門』ギネス申請中の入浴シーン秘話と、5人の黄門様と格さん、伊東四朗さんとの再会」

15歳のデビュー以来、映画やテレビ、そして歌に踊りにと、エンターテイメントの第一線を走り続けてきた由美かおる。彼女が共演したスターたちの秘話や出演した名作の舞台裏とともに、半世紀を超える芸能生活の「CHANGE」について、語ってもらった。第3回は、代表作である『水戸黄門』(TBS系)について。番組の看板となった「入浴シーン」の誕生秘話から5人の黄門さまと助さん格さん、そして故郷である京都への思い、今後の活動まで――。永遠の妖精73歳の「リアル」を追った。(全3回/第3回)

入浴シーンは204回「何時何分にお風呂に入るか」クイズ番組の問題に

1980年代に入ると、再び大きなターニングポイントが訪れる。国民的時代劇『水戸黄門』(TBS系)への出演だ。初代黄門の東野英治郎時代にゲストで6度出演し、2代目の西村晃時代からは、女忍者「かげろうお銀」としてレギュラーとして定着。4代黄門に石坂浩二を迎えてからは、「疾風のお娟」として出演した。もちろん、人気の入浴シーンは続いた。

実は、ゲスト出演したときにも入浴シーンがあったんです。ただ、お銀になってからも、当初は毎回お風呂に入っていたわけではなかったんです。
ある深夜のクイズ番組で「由美かおるは『水戸黄門』で何時何分にお風呂に入るか」という問題が出たんです。その話を聞いたプロデューサーが、そんなに話題になっているんだったら、毎回入ろうということになったんですね。
入浴シーンだけで204回もあり、「一つのドラマシリーズにおける一俳優の入浴シーン放映回数の世界最多記録」として、ギネス記録に申請中だそうです。

「明るい」初代、「ダンディ」な2代目、「庶民的」な3代目、「博学」な4代目、「美しい」5代目

でも、私としては一番見てほしかったのは、悪者をやっつけるシーンの立ち回り。お銀の衣装をレオタード風にアレンジしたり、ブーツをはいたりしたのは、カッコよく立ち回りをしたかったからです。

『水戸黄門』にはレギュラーとして1986年から2010年まで、25年間にわたって出演している。その間、黄門役は初代の東野英治郎から西村晃、佐野浅夫、石坂浩二、里見浩太朗と代わった。

東野さんは悪役を多くやられていたこともあって、それが逆に黄門様の優しさとして出ていたような気がします。明るい方でした。
2代目の西村さんは、いつも自分で車を運転して撮影所に来られていました。
「ぼくはパジャマにアイロンをかけるんだ」とおっしゃるくらいダンディで、清潔感あふれる方でした。
3代目の佐野さんは庶民的なおじいちゃんという感じ。撮影所に奥様といらしたこともあります。
4代目の石坂さんは、とにかく博学。ロケの合間に黄門様のつえで地面に図や文字を書きながら、歴史の話をしてくださったことをよく覚えています。
5代目の里見さんはもともと助さんをやっていた方ですが、そこは東映出身の時代劇スター。殺陣は上手だし、きらびやかで美しい黄門様でしたね。
もう一人、長い間共演したのが格さん役の伊吹吾郎さん。汗だくになって立ち回りをした後、いつもおいしそうにビールを飲まれていました。格さんといえば、「この紋所が目に入らぬか!」と印籠を出すわけですが、伊吹さんは印籠の持ち方や出し方にもこだわり
を持たれていた、とってもデリケートな方です。

『水戸黄門』の撮影が行われたのは東映の京都撮影所。そして、由美かおるにとって京都は生まれ育った故郷でもある。

生まれ故郷で伊東四朗さんと再会「昔と変わらないね」

今でも太秦の撮影所近くの商店街を歩くと、お店の方たちが出て来て「お帰りなさい」と言ってくれるんです。うれしいですよね。
撮影所で30年ぶりにお会いしたのが伊東四朗さん。話が弾みました。
「由美さん、昔とちっとも変わらないね」なんて言って、私の曲『いたずらっぽい目』を口ずさんでくださいました。
いくつになっても、若く見られるのはうれしいですね。
幸いデビューの頃のお洋服が今でも着られます。体のほうもいたって健康。「シニアのアイドルだね」と言ってくださる方もいます。
これからは健康や美しさを維持する方法について、シニアの方々にどんどん発信していきたいですね。その一環として「由美かおるのブリージング(呼吸法)」のレッスンを始め、すでに書籍にもなりました。そして、こうした活動は海外にも広げていく予定です。
よく「お酒は?」と聞かれますが、そこそこでございます(笑)。みんなと楽しく飲むお酒がいいですね。

若々しく快活な由美さん。今後は、バーチャルリアリティを用いた国際的なプロジェクトも進行中とか。ミラクル美ボディは現在も不変でありながら、進化し続ける“永遠の妖精”から今後も目を離せない。

ゆみ・かおる 1950年11月12日、京都府生まれ。中学生のときに、西野バレエ団に入団し、深夜ワイドショー『11PM』(日本テレビ系)に、西野皓三氏が企画・構成・振付をした歌と踊りで出演すると大ブレイク。世間の注目を集め、66年に石原裕次郎の相手役として映画『夜のバラを消せ』で女優デビュー。歌手としても67年のデビュー以来、ヴェネツィア国際音楽祭など、海外の音楽祭で入賞を果たすなど世界の舞台でも活躍する。多くの映画やドラマ、CMなどに出演し、代表作のドラマ『水戸黄門』(TBS系)で演じた女忍者・かげろうお銀の入浴シーンは、同ドラマの看板になった。T157-B86W58H86のスリーサイズはデビュー当時から変わらず。由美かおるが講師を務める「ブリージング(呼吸法)レッスン」などの最新情報はhttps://yumikaoru.com/でチェック。CDアルバム『Jewel Box』も発売中。

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