女優・宮地真緒が語る朝ドラ『まんてん』の壮絶エピソード「本当に私の人生の大きなターニングポイントでした」

宮地真緒

3月に朗読劇への出演を予定している宮地真緒さん。2002年にNHK朝ドラ『まんてん』のヒロイン役に抜擢され、一躍、全国区の人気女優になった。いまでは濡れ場もいとわない女優として大活躍中の彼女だが、朝ドラ時代には思わず泣き出したこともあったそう。今回は、朝ドラの話から初濡れ場まで宮地真緒の「CHANGE」について聞いてみた。【第1回/全2回】

ーー3月15日から上演される『星の王子さま Le Petit Prince ~きみとぼく~』は、朗読と音楽を融合した「二人芝居」と聞いています。

「はい。名作『星の王子さま』の朗読劇で、王子さま役と飛行士役の2名のみで行うんです。出演者も日替わりで、全部で6組。私は王子さま役で、今拓哉さんと3月16日に出演させてもらいます」

ーー 『星の王子さま』は確か、子供向けのお話だったかと思います。

「はい、児童文学です。私も子供の頃に読んだ覚えがあります。ただ、今回、改めて読むと、印象が少し違いました」

ーーどういうふうに違ったんですか。

「子供の頃は、単純にすてきなお話だと思っていたんですが、大人になって読むと、すごく心に染みたんですよね。心が洗われるというか、失った純粋さを取り戻せるような……。読者の皆さんにも、ぜひ読んでほしい作品です」

ーー今回、朗読×音楽ということですが、歌も歌うんですか。

「そうなんです。歌を披露するのは、2018年のミュージカル以来なので、約6年ぶり。もともと歌に自信があるわけではないので、今からドキドキしています」

ーー歌は苦手なんですか。

「はい。自分では“歌が下手”だと思っていて……。だから今回の朗読劇で、歌への苦手意識を克服できればと思っています」

ーー朗読だけでなく歌も聴けるなんて、ファンの皆さんにとっても特別な機会になりそうです。

「ありがとうございます。ただ、私としては、あまり意気込まないようにしているんです。つい気負いすぎて失敗しちゃうことが多いので、お稽古はきっちりやって、本番はフラットな状態で挑もうと思っています」

デビュー2年で朝ドラ『まんてん』のヒロインに抜擢

ーー長年、女優業をされているだけあって、自分のことを、よく分かっているんですね。デビューしたのは、高校1年生のときですよね?

「はい。今年で40歳になったので、もう24年前になります」

ーーいつから、芸能界に興味があったんですか。

「小さい頃からテレビが大好きで、テレビに出たいという夢はあったんです。ただ、そうは言っても私は生まれが淡路島。オーディションなんて、近くでやっていなかったんですよね。
でも、1回でいいからチャレンジしてみたい。そう思って、高校1年生のとき、ホリプロスカウトキャラバンに応募したんです。結果はダメだったんですが、事務所の人から〝うちで、やってみませんか?〟と声をかけてもらえたんです」

ーーそれで、淡路島から東京に出て来たんですか。

「いえ。淡路島と東京を行き来していました。平日は学校があるので、金曜日に授業が終わると、そこから東京に出て、土・日にお仕事をして、月曜日の始発の飛行機で淡路島に戻って登校するという生活を、丸2年続けていましたね」

ーーそういうハードな生活をしているうちに、NHK朝の連続テレビ小説『まんてん』のヒロインに抜擢されたんですね。

「『まんてん』は、本当に私の人生の大きなターニングポイントでしたね。それまで、お芝居なんて知らなかった素人の私が、いきなり約10か月、毎日、台本を読みながら、お芝居をすることになるなんて……」

ーーましてや、朝ドラとなれば、スケジュールも過密ですよね。

「大変でした(笑)。月・火はリハーサルで、水・木・金でスタジオ収録、土曜日はロケ。日曜日はお休みなんですけど、常に4~5冊の台本を渡されていたので、日曜日にセリフを覚えるしかなかったんです」

自分の力では、どうしようもできないことも……

ーー聞いているだけで、目が回りそうです。

「若かったから、できたんだと思います。今はもう、体力的に無理です(笑)。ただ、当時の私は他のドラマの現場を知らなかったので、これが普通だと思っていたんです。後になって、“朝ドラは過酷だった”と分かりましたね」

ーーつらくて、逃げたくなったときはありましたか。

「そうですね。屋久島で雪解けの水の中に飛び込むシーンもありましたけど、そういうのは自分の力で乗り越えられるものなので、大丈夫でした。でも、自分の力では、どうしようもできないことがあって……」

ーーどんなシーンだったんですか。

「赤ちゃんを抱っこするシーンです。赤ちゃんだからしかたないんですけど、ずっと泣いてしまっていて……。当時の私はまだ18歳だったので、赤ちゃんのあやし方も分かりませんでした」

ーーそれは自分の力で、どうしようもできませんよね。

「しかも、年末の時期で、スタッフさんも〝このシーンが終われば、明日から正月だ!〟という状況だったんです。
私が赤ちゃんをあやせないせいで、時間も押してしまって……。焦りに耐えきれなくなって、いったん赤ちゃんをスタッフさんに預けて、トイレに駆け込んじゃいました。つらくて泣いてしまったのは、それが最初で最後です」

ーー撮影の裏側で、そんなこともあったんですね。

そして衝撃的だったのが、デビュー10年目に出演された映画『失恋殺人』。この作品で、宮地さんはバストトップも披露する大胆な濡れ場に挑戦した。

「断らない女優」になりたいという宮地真緒さん。「自分の中で苦手かもと思っているジャンルでも、逃げずに挑戦していくスタイルでいたいです」と、丁寧な語り口で、ぶしつけな質問にも答えてくれた。朗読劇『星の王子さま』にも期待が膨らむ。

みやじ・まお 1984年2月2日、兵庫・淡路島生まれ。T168。2000年のデビュー後、02年に第27代『旭化成水着キャンペーンモデル』に起用される。同年のNHK朝ドラ『まんてん』のヒロイン役に抜擢され、一躍、全国区の人気女優に。10年には映画『失恋殺人』で濡れ場を演じ、話題になった。

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